みやとロウ。
『あそこ』
大木にできた巨大なうろ
その中には見慣れた灰色の曲霊達がたくさんいた
外に出ようとしていた曲霊がいたけど
見えない『何か』に阻まれるように
また中に押し戻される
「…なにか…ある?」
『『網』張られてる』
「どうすればいい?」
『やぶって』
……やぶる…って言われても…
『大丈夫。みやならできる』
「…」
曲霊に言われるがまま
私は見えないその壁にぺたんと手のひらを押し付けて
それからぐっと爪を立てて
引き裂くように力強く引っ張った
「わ…っ」
ばちっ!っと静電気が走るような音と
両手に一瞬だけ感じた痛み
同時に
中に閉じ込められていた曲霊が
どっと押し寄せるように外に出てきて
どてんと地べたに尻餅をつく
「……やぶれた?」
わらわらと逃げるように散っていく曲霊を呆然と眺める
方々へ去っていく曲霊達
けど、ひとりだけその場に残る曲霊がいた
その曲霊に近付いて
『いと』
白色の曲霊が呼び掛ければ
『―――』
灰色の曲霊が反応するように音を返した
この灰色の曲霊が
白色の曲霊の友達なんだろう
でも
……やっぱり、灰色の曲霊の声は聞こえない
『早くかえろう』
『――』
『大丈夫。まだ間に合う
塞ノ神様がおくってくれる』
『―』
『―――』
『いと…』
大木にできた巨大なうろ
その中には見慣れた灰色の曲霊達がたくさんいた
外に出ようとしていた曲霊がいたけど
見えない『何か』に阻まれるように
また中に押し戻される
「…なにか…ある?」
『『網』張られてる』
「どうすればいい?」
『やぶって』
……やぶる…って言われても…
『大丈夫。みやならできる』
「…」
曲霊に言われるがまま
私は見えないその壁にぺたんと手のひらを押し付けて
それからぐっと爪を立てて
引き裂くように力強く引っ張った
「わ…っ」
ばちっ!っと静電気が走るような音と
両手に一瞬だけ感じた痛み
同時に
中に閉じ込められていた曲霊が
どっと押し寄せるように外に出てきて
どてんと地べたに尻餅をつく
「……やぶれた?」
わらわらと逃げるように散っていく曲霊を呆然と眺める
方々へ去っていく曲霊達
けど、ひとりだけその場に残る曲霊がいた
その曲霊に近付いて
『いと』
白色の曲霊が呼び掛ければ
『―――』
灰色の曲霊が反応するように音を返した
この灰色の曲霊が
白色の曲霊の友達なんだろう
でも
……やっぱり、灰色の曲霊の声は聞こえない
『早くかえろう』
『――』
『大丈夫。まだ間に合う
塞ノ神様がおくってくれる』
『―』
『―――』
『いと…』