みやとロウ。
しゅんと肩を落とせば
ロウはまた前みたいに私の洋服の首根っこをくわえて歩き出した



「おやおや
みやじゃないか」

「…塞ノ神(さえのかみ)さま」


ロウに連れられてやってきた庵(いおり)
庭先で土いじりをしていた塞ノ神さまと目が合う


「久しぶりだね」

「うん」


ロウが塞ノ神さまの目の前に私を降ろす


「最近はやたらと貰いすぎる」

「それはそれは
で、僕になんとかしろと?」

「俺が祓っても気休め程度にしかならん」

「みやは真っ白過ぎるからなぁ」


困ったように笑ってから
塞ノ神さまは私に顔を向ける


「一番いいのは、僕かロウの傍にいることなんだけどね」


「いっその事、ここに住むかい?みや。
僕は歓迎するよ」

「塞ノ神」


咎(とが)めるように名前を呼んで
ロウが塞ノ神さまを睨み付ける

塞ノ神さまは「こわいこわい」と笑いながら、くるりと体を反転させ


「おいで、みや」


来い来いと私を手招いた
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