みやとロウ。
目の前に迫る真っ黒な影


せめて曲霊だけでもと
腕の中にいたふたりを突き放す


同時に、影が自分に襲い掛かってくる



『みや!!』



曲霊の叫び声が響く



「っ!」



なす術もなく
私はぎゅっと目を閉じた




でも




曲霊とは別に叫び声が響いて


そっと両目を開けば


形容しがたい叫び声をあげていたのは
あの影、魂喰らいだった


真っ黒な身体に突き刺さった大きな槍


地面に拘束された魂喰らいは
痛みにもだえるように
奇怪な声で叫び続けてる



「大丈夫ですか?」



呆然とそれを眺める私に近付いて
窺うようにそう問いかけてきたのは


あの祓い屋のお兄さんだった




「……大丈夫」

「怪我してますよ」


お兄さんは私の顔を見ると
しゃがみこんで、懐から取り出したハンカチをほっぺたにあてた


「…ありがとう」



「…あれ、やったの
しおり、さん…?」

「詩織でいいですよ」
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