みやとロウ。
「喜怒哀楽と言った思い、感情の
バランスをきちんと取ることの出来ている魂が直霊」


「省みる事が充分に出来ず
感情のバランスが崩れた魂を曲霊と呼びます」




「そう」




しおりの言葉に頷いたのは
いとでもふゆでもなく



「!塞ノ神さま」



塞ノ神さまだった



突然現れた塞ノ神さまは
私を見て苦笑いを浮かべる



「無茶をしたね。みや」

「…ごめんなさい」

「でも、ありがとう」


私の顔の傷に撫でるように触れた後
塞ノ神さまは、ふゆといとの傍に近付く



「ふゆ」

『…塞ノ神様
みやをまきこんでごめんなさい』

「ロウがいたから
僕を呼べなかったんだろう?」

『…』

「大丈夫。ロウは連れてきてないから」




「いと」

『―――』

「まったく…
だから言っただろう?
あまり長居するものじゃないって」

『――』




『――…思い出せないの』



…声が……

聞こえなかったはずのいとの声が聞こえる


とても、悲しそうな声



『……どうしても、思い出せない』


「…うん
でも、行かないと
きみがずっとここにいたら、心配でふゆも行けない」


『…』


「ロウは
きみたちが『次』で幸せになることを望んでる」


『…』


「もちろん僕も」



「僕たちの願いを叶えてくれないかい?」











『………うん』
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