みやとロウ。
沈黙の末、小さく頷いたいとに笑顔を返して
塞ノ神さまは送り火を取り出す







「……?」


耐え難い眠気に襲われて
ふらりと身体が傾く

傍にいたしおりが支えてくれる


「いと達に触れた影響だね
辛いだろう?お眠り」


塞ノ神さまの声が遠くに聞こえる


だけど、送り火から聞こえる
あの綺麗な音だけははっきりと耳に響く



『みや。ありがとう
巻き込んでしまって、ごめんなさい』


『みや。助けてくれてありがとう』



ぼんやりとしていく視界の先に
映ったのは、かわいらしい女の子ふたりの姿



『塞ノ神様と
……狼炎を、お願い』




私の意識はそこで途切れた

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