みやとロウ。
「これでよしっと」


塞ノ神さまは私の手首に綺麗な組紐を結びつけて、すいすいっと私の手のひらの上に
何か文字のようなものを書いた


「これで同調し過ぎる事はないはずだよ」

「ありがとう」

「どういたしまして」


手首の綺麗な組紐をじーっと眺めながらお礼を言う

立ち上がった塞ノ神さまは棚からお菓子を取り出して、「ほら、お食べ」と私に差し出した


「…塞ノ神さま」

「うん?」

「みやはずっとこのままなのかな?」


受け取ったお菓子を口にはせず
組紐をぼんやり見つめたまま、塞ノ神さまに問いかけた


「うーん、断言は出来ないけど
その可能性は高いね」


左手でもぐもぐと大福を頬張り
右手で器用にお茶を淹れながら
塞ノ神さまは私を見る


私の『中』を見る


塞ノ神さまもロウも
いつもいつも私には見えない何かを見てる


「みやの魂は驚くほどに真っ白だ」


「誰しも生まれ落ちた瞬間は真っ白だけど
成長していく過程で段々と
周囲のものや人の影響を受けて染まっていく」


「幼い子供の場合は白いままの子も結構いるし、白を残している大人も多いけど
それでも真っ白じゃない」



「その歳でそれだけ見事に真っ白なのは
とても珍しい」



「だけど、真っ白な存在は
良くないものに好かれる」



「恐怖、憎悪、怨み、妬み、嫉み
悲しみ、怒り…」



「純白であればあるほど
淀みに染まりやすい」



「負の感情、悪いものを貰いやすい」
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