みやとロウ。
「…」


人といると、とても疲れてしまう


すごく悲しくなったり、苦しくなったり
体が重くなったり、痛くなったり…

恐怖や不安に押し潰されそうになって


どうしようもないほど心がきしんで


壊れそうになる


相手の抱えているそういう感情が
自分の中に入ってきて、心を占拠する


少し触れただけでも

一言、話しただけでも

一瞬、目が合っただけでも


大なり小なり
その人の抱いてる感情の影響を受ける



最近は特にその影響が強くて
さっきみたいに貰った感情に自分を乗っ取られてしまうことが多くなった



「……みや、真っ白なんかじゃないよ
嫌だなとか怖いとか
怒ったりとか泣いたりとかするよ」


自分にだって
そういう暗い色…感情はある

言われて嫌なこと、腹が立つことだってある

他の『人』となんら変わらない

白くなんてない



「うん。みやにもそういう感情はある
人だからね
でも、感情と魂の色はまた違うものだから」


「みやに渡した分、相手はずいぶん楽になっているだろうけど…
望む望まないに関わらず代償を支払ってるのはみやだからね」


「なんとも酷な話だ」


塞ノ神さまは痛ましそうに私を見て
それから労るように私の頭を撫でる


「狼炎(ろうえん)には怒られたけど
さっき僕がきみに言った言葉は嘘じゃないよ」
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