みやとロウ。
「これはどう使うの?」

「振って見て下さい」


しおりに言われた通り、振ってみれば

突如、扇から突風が発生して


凪いでいた湖に激しい波紋を作り出し
周辺の木々を荒々しく揺らす

土埃が激しく舞い
地面にあった石や小枝を、勢いよく彼方へ吹き飛ばした



「…」



たったの一瞬、軽く一振


だと言うのに
目の前には、台風一過のような光景が広がった


あっけに取られて
ぽかんと口を開いたまま、固まる私



「慣れれば、吹き飛ばすだけではなく
その風を刃のようにも、盾のようにも扱えるでしょう」


対照的に
荒れ果てた光景を目にしても
しおりはぜんぜん平気な顔


きっと、しおりにとっては
さして珍しくもない、見慣れた光景なんだろう



……。


………こんなのが当たり前の毎日………


…………。


祓い屋の日常の凄まじさを垣間見た日だった
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