みやとロウ。
風になびく、星の形をした青い花
指先でいじりながら
膝の上にある扇をぼんやり見下ろす


「祓い屋に貰ったのか?」


音もなく背後から現れたのはロウ
見上げながら、頷く


「うん」

「随分と強い祓具を貰ったものだ」

「そうなの?」

「ああ」

「…これ、上手く使えなくて」


しおりに何度も教えて貰ったけど
あらぬ方向に突風を起こして
色んなものを壊したり、飛ばしたりしてしまって

しおりみたいに狙ったものをピンポイントで破壊したり、飛ばしたりは出来なかった



「それを振って
風を起こせるだけ大したものだ」



思うように扱えなくて
肩を落としていた私に、ロウはそう言う



「祓具は一定の霊力がなければ、持つことさえ出来ない
そして、それを扱うには
さらに多くの霊力と集中力を要する」


「制御するのに
時間がかかるのは当然だ」


「ロウは使える?」


問いかければ
愚問だと言わんばかりの態度

ふっと、人に姿を変えて
私の膝の上にある扇を手に取った



ほんの少し、扇を開いて


ぱちん、と閉じれば



その音を合図にしたように
小さなつむじ風が、いくつも発生して

一斉に周辺の花が空に舞い上がった
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