みやとロウ。
塞ノ神さまはお風呂代わりに使ってるけど

霊泉は神聖な場所

地中から絶えることなく湧き出る神水には
穢れを祓い、淀みを清め、怪我や病を癒す力がある


霊泉の事を教えてくれたロウの口振りだと
本当なら、ただの人である私が
軽々しく足を踏み入れていい場所ではないみたいだけど

主である塞ノ神さまは
そんな特別な場所にまで私を招き入れて

惜しみ無く、その恩恵を与える






塞ノ神さまに勧められるがまま
霊泉に赴き、再び庵に戻れば
そこには思いもしない相手の姿があった


「……しおり?」

「こんばんは。みや」


塞ノ神さまとふたり
囲炉裏(いろり)を囲んで、和やかにお茶を飲んでいたのは
昼に別れたばかりのしおりだった


……塞ノ神さまに用事かな


「霊力不足で倒れたと聞きました
無理をさせてしまい、すみません」


塞ノ神さまが話したんだろう
申し訳なさそうに頭を下げるしおりに
私は首を横に振る


「ううん。みやがやり過ぎただけ」

「祓具の霊力消費の事を
詳しく話しておくべきでしたね」

「大丈夫」


霊力消費の事は聞いてなかったけど
慣れない内は、あまり祓具を使わないようにと
しおりはちゃんと注意してくれてた


早く慣れたいが為に
自主練をし過ぎた私が悪い
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