みやとロウ。
「…それより、しおり
仕事だった?」

しおりをじっと見つめる

そんなに目立ちはしないけど
所々、着物が破れてたり、汚れてる


「はい」

「怪我、してない?」

「はい」


確認できないだけで
どこか怪我をしてるんじゃないかと
気を揉む私
けど、返ってきた言葉に嘘は感じない


ほっと表情を緩めれば
しおりと私のやりとりを
微笑ましそうに眺めていた塞ノ神さまが口を開く


「みや。僕はこれから
ちょっと『外』に出てくるから
その間、詩織と話しでもして待っていて」


「なるべく早く戻るつもりだけど
遅くなるかもしれないから
何かあったら、これを飛ばして」


そう言って、私の手に乗せたのは
小さな折り鶴

何だろうと見つめる私に
「伝達用の式ですね」と
しおりが横から教えてくれた


「命じれば、僕の所に届くから」


立ち上がった塞ノ神さまは


「じゃあ、詩織
みやを頼んだよ」


ぽんっと、詩織の肩に手を置いて
そう言い残して、庵から出ていった
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