みやとロウ。
「しおり、戻らなくて大丈夫?」

「仕事はもう終わったので」

「そっか」

「みや。疲れているでしょう?
眠っていいですよ」

「ううん。塞ノ神さまが戻るまで起きてる」


しおりの隣に座って
それから、小さくあたりを見渡す


「しおり、ロウと会った?」


霊泉から戻ってくる途中
探しては見たものの、どこにもロウの姿は見当たらず

庵にも気配は感じない


「いえ。道祖神様の命で外に出ているそうです」

「…そう…」


いとの記憶を視たせいか
ロウの姿がないと、落ち着かない

あからさまにしょげる私を見て
しおりは少し思案するように顎に手を置いて

それから、こんな提案をしてくれた


「みや。この間の話の続きでもしましょうか?」

「!」


ぱっと顔を上げる


「聞きたいっ」


間髪入れずに頷けば、しおりは小さく笑った


「では、今日は神獣様の話をしましょう」
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