みやとロウ。
「あやかしなのに神様?」

「そう珍しくはないです
人を愛し、守る
そういうあやかしは
昔も今も、いますから」


「悪いものから守り、恩恵を与える」


「加護を受け、与えられた人間からすれば
その相手があやかしであろうと、神と遜色(そんしょく)ない」


「神獣様は、とても力のあるあやかしだったそうです
けれど、決してむやみやたらにその力を振りかざしたりはせず
あやかしと人の間で
無用ないさかいが起きないよう
その均衡を保つために尽力していたそうです」


「あやかしと人
どちらに加担する訳でもなく
あくまで中立」


「誰の味方と言うわけでもなかったのでしょうが
あやかしの方が血気盛んで
己の欲や情に素直
必然的に人を守る事が多かったのでしょう
神獣様は人に、特に人の子供に好かれていたそうです」



「道祖神様の遣いとなってからも
それは変わらないようですが」



ちらりと私を見て、ふっと口許を緩める



「あの方は、おそらく
情が深く、とても心優しい
表面上はそう見えなくとも」


「けれど
子供は本質を見抜く力がありますから」



「気付くのでしょう」



「あなたがそうであるように」



「あなたが
道祖神様よりも神獣様に懐いているのは
あの方の心根の優しさに惹かれたからでしょう?」
< 96 / 162 >

この作品をシェア

pagetop