みやとロウ。
……。



嫌だ



自分がそうなるのも

周りをそうさせるのも




でも




「……でも
記憶喰らいをこのまま放置したら
悲しむひとはずっと消えない」



いととロウのようなひとが
これからも増え続ける



「探して、見つけて
なんとかしたい」



何の力もないのに
ただのエゴだって分かってる

今の自分が
どうこうできる問題じゃないのも分かってる


それでも


知ってしまった以上、放置出来ない

知らなかった時みたいに
自分だけ安全にのうのうと過ごすなんて出来ない



「……道祖神様も仰っていましたが
あなたは存外、頑固ですね」



前回も同じように警告されたけど
今みたいに堂々巡りで終わった

自分が折れる他ないと悟った様子のしおりは、深くため息をついた後

気を取り直すように、また話し始めた



「遥か昔から
我々のような生業(なりわい)の者や、神々が
記憶喰らいを退治し続けていました」


「長い長い時間をかけ
確実に血を絶やし続けてきた」


「つい先程、現存する記憶喰らいの内
1体を斎家の当主が仕留めました」


「!」


「今宵、ここへ伺ったのは
その報告のため」


「記憶喰らい、後どれくらいいる?」
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