最後にもう一度愛を...

「望月さんも叔父に無理やり……?」



私は思わず聞いてしまった




「そう…だね。社長は自分の意見を頑なに通そうとする。下の人の意見なんて耳も傾けない。自分が良いと思えばそれで押し通してしまう。たとえ人の命が失われたとしてもね」



そうどこか遠くを見るような目で話す望月さんはなんだか泣いてしまいそうな顔をしていた



「僕にはね、大切な人がいるからとこの話を一度は断ったんだ。だけどね、社長に言われたんだ、“俺の一声で君の大切な人の家族をどうすることも出来る”ってね」




やっぱり叔父はどこまでも卑劣……



「それで僕はこの話を飲むしかないと思ったんだ…でも…やっぱり僕は大切な人を裏切れない。その人じゃないとダメだと思うんだ」



望月さんはちゃんと自分を持っている




大切な人を見失わない



そっか、余裕があるんじゃなくてその人しか見えてないんだ


だからきっと私の気持ちなんてどうでもよかった


だから余裕があるように聞こえたんだ……



この人に想われてる人はなんて幸せなんだろうと思った


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