最後にもう一度愛を...

今崎さん…



「やっとね、里絵を行方を探し当てた時には...もうこの世にはいなかった。
里絵はもう亡くなっていたの。
でも...子どもがいるということを知ったの。それが里紗ちゃん、あなただった。
里紗ちゃんを城山の家から守りたくて、里紗ちゃんが通っていた保育園に私は臨時の職員として入ったの。
城山の家から守るつもりだったのに、あなたは実父と義母から暴力を受けていたわ。
どう..して...お母さんも亡くなって悲しいはずなのに
どうしてこんなにも笑顔なんだろう
どうして暴力を受けているのに
それを感じさせないくらい明るくて...
...私は正直、理解出来なかったわ

でも...里紗ちゃんを見ているうちに、我慢してるだけなんだってわかったの。
迎えに来た両親と仲良く帰るお友達の姿を見た時の寂しそうな顔だったり、お遊戯会や遠足の時の我慢している表情は今でも忘れられないわ...
胸が締め付けられる思いだったわ。

だから、卒園した後も私は里紗ちゃんのことを見守っていたの。
城山から守るために、里紗ちゃんが里紗ちゃんでいれるためにね。」



時折言葉に詰まらせながら話す今崎さんの話に私は泣いてしまった


こんなにも私のことを大切に思ってくれていた人がいたんだ......


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