最後にもう一度愛を...


翠さんは立ち上がりそう言って私に頭を下げた



えっ...?



「2人がうまくいかなかったのは私のせいよ...私が...私が里紗ちゃんを呼ばなければ...ごめんなさい...二人を引き裂いたのは紛れもなく私なのよ...」


「え...そんなこと...」


あの日ここに来たのは私の意志、それにあの人はずっと機会を窺ってたはず...


だから翠さんのせいなんかじゃ...


「里紗ちゃん...これは私からの償いの気持ち...その住所に行けば彼に会えるわ。行くか行かないかそれは里紗ちゃん次第、でも...里紗ちゃん、私は二人に幸せになってほしいのよ。」


そう言って私に紙切れを渡してきた翠さんは涙ぐんだ顔でにっこりと笑った



「今のあの子は見ていられないのよ...」



そうぽつりとつぶやいた翠さんの言葉は私には聞こえなかった


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