メリーバッドエンド
黒岩さんにそう言われ、私は「はい」と頷いた。よかった、きちんと調べてくれるんだ。安心して笑みがこぼれる。

警察の人が調べてくれるなら、きっとすぐに私が誘拐・監禁されていた証拠を見つけてくれるはず。そうすれば、圭さんの罪は世間に晒されて裁かれる。でも、私は自由を奪われるという恐怖から解放される。

「捜査、頑張ってください!私も何か協力できることがあれば何でもします!」

「ありがとう、頑張るよ。また話を聞かせてもらうこともあるかもしれない」

「はい、いつでも話します」

「本当にごめんね。あっ、お昼は冷蔵庫に入っているからチンして食べて」

黒岩さんを見送り、私はドキドキする胸を押さえる。久しぶりにした圭さん以外との会話がこんなに楽しいなんて……。自由になってからは、些細なことに幸せを感じるようになっている。今までが非日常だったからな。

「よし、掃除しようかな」

住まわせてもらうんだから、家事くらいは手伝いたい。私はグッと拳を握り締め、リビングへと戻った。
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