メリーバッドエンド
「……何してるの?」

声をかけられ、もがくのをやめる。縄の軋む音が消えた。

いつ地下室に入ってきたのか、圭さんが私を見下ろしている。その顔は無表情で何を考えているかわからなくて、恐怖で体が震えていく。

「……ここから出してください……」

小さな声で言うと、「いけない子だ」と圭さんが私の体の上に覆い被さる。私は「ひっ!」と声を上げて抵抗しようとするけど、縛られた手足がギシギシと音を立てるだけでどうにもならない。

「敬語は使わないでって言ったのに……」

圭さんはそう言った後、私に顔を近づけて唇を奪う。決して優しいキスじゃない。いきなり舌を絡め取られ、乱暴に口の中を侵されていく。苦しいけど、縛られていて抵抗することなどできない。

「んん〜!!」

久しぶりのキスは甘さや幸せなどがあるはずもなく、ただ私にこれから起こることの恐怖を与えていく。そんな私を見下ろした圭さんの目は、どこか熱いものを秘めているように見えた。
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