メリーバッドエンド
「今日は来てくれてありがとうございます」

俺はそう言い、芸能人のように白くて華奢な小さなその手に触れる。とても柔らかい。ずっとこのまま触れていたいなぁ。

女性を見ると女性はとても恥ずかしそうにしていて、顔どころか耳まで真っ赤だった。抱き締めたいほど可愛い。

「お次の方、どうぞ〜!」

ずっとこの時間が続けばいいのにと思っていても、すぐに現実を突き付けられる。一瞬だけ触れることを許される時間。まるでシンデレラになったみたいだ。

俺は芸能人だから、連絡先を交換しようなんて軽々しく言えない。ただ寂しさを堪えて「応援しています」とはにかむ彼女を見送るしかできなかった。

話した会話は、他の人とも話した同じようなもの。それでも彼女といた時間が一番楽しくて、幸せだった。

絶対、彼女を見つけ出してやる。俺はそう心に誓った。



それから俺は、TwitterやInstagramであの女性を探すようになった。俺のことをフォローしてくれている人を一人一人探していく。果てしないような作業だ。

「コイツじゃない。コイツも違う」
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