メリーバッドエンド
その気持ちを抑えられず、俺は若菜に盗聴器やGPSをこっそりとつけてしまった。俺が藤田として店に来ない間、何をして、どんなことを話しているか知りたかったから。

若菜が仕事仲間に俺のことを話している時、とても幸せを感じる。正体を明かして抱き締めたいと何度も思った。でも、それと同時に嫉妬もしてしまう。

「若菜ちゃん、すごくいい笑顔だし可愛いよね」

「若菜ちゃんを見てると元気になれるよ!」

ペットショップに来た男たちが若菜にそう声をかけているのが聞こえたからだ。その時、自分でも驚くほどの激しい怒りが込み上げる。若菜に触れていいのも、声をかけていいのも、全部俺だけだ!汚い声で話しかけるなよ!

若菜にプレゼントとして、若菜の持ち物をブランド物に変えていたりした。もちろん若菜が持っていたものは大切に保管してある。でも、それだけじゃ抑えられなくなってしまった。

若菜は可愛い。いつか、誰かに奪われてしまうかもしれない。そんなの嫌だ。若菜は俺の運命の人なんだ。俺以外と結ばれるなんて、そんなのありえない。
< 20 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop