メリーバッドエンド
私がそう言うと、圭さんは「若菜に似合うと思って。俺たちの結婚式みたいでしょ」と微笑む。私は曖昧に笑ってとりあえずドレスに着替える。ドレスは見れば見るほど綺麗で、こんな私に似合っているかどうか不安になってしまう。

「お姫様みたい!よく似合ってる!どんな花嫁より綺麗だよ。愛してる」

圭さんは、聞いているこっちが恥ずかしくなるほど褒めてくれた。フィルターかかりすぎでしょ。

それから朝ご飯持ってくるね、と言い圭さんは部屋を出て行った。一人残された私は鏡の前に立つ。綺麗なドレスに似合わない拘束具が目立っている。誘拐されて監禁されているんだという現実を、嫌というほど突き付けられる。

「これからどうしよう……」

圭さんの世界に、このまま閉じ込められているわけにはいかない。でも誘拐なんてされたことなんてないから、こういう時にどうしたらいいかわからない。

しばらく考えていると、「ご飯持ってきたよ」と言いながら圭さんが入ってくる。私は鏡の前から離れ、部屋に置かれた豪華な椅子に腰かけた。
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