メリーバッドエンド
色んな感情が押し寄せて、体が震えてしまう。それに圭さんはすぐに気付き、私を強く抱き締めて片手で私の目を覆って視界を奪った。

「七海、若菜が怖がってる。早くそのメロンを片付けて」

「承知致しました」

視界が暗闇に包まれる中、牧さんが潰れたメロンを退けて周りに飛び散った残骸も綺麗に片付けていく音がした。そして、圭さんは私を抱き締めたまま「大丈夫、怖くないよ」と優しく私の耳元で囁き、時々耳にそっとキスを落とす。唇の感触にびくりと肩を震わせると、クスクスと笑われた。

「若菜、可愛いね」

甘くてどんな人もとろけてしまいそうな声で囁かれ、ドキッとしてしまう。視界を奪われているから、圭さんの好きにされるしかなくて、どんどん体から力が抜けていく。

「顔、真っ赤にして……。七海が帰ったらキスしていい?」

「えっ、顔真っ赤……?」

自分の顔が赤くなっているなんて、言われるまで気付かなかった。圭さんに本当に恋をしたみたいで嫌だ。
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