メリーバッドエンド
廊下を歩いている間、若菜とアメリカで行きたいところを思い浮かべる。たくさん若菜と見たい景色がありすぎて、計画を立てるのは大変そうだ。本場のディズニーランドも、グランドキャニオンも、セントラルパークも、タイムズスクエアも、一緒に若菜と行きたい。

「考えるだけで幸せだな……」

そう、本当に今が一番幸せなんだ。世界から認められることよりも、どんな素晴らしい映画の主役を勝ち取ることよりも、若菜と一緒にいることが幸せ。だからこそ、絶対に逃がさない。

俺はスマホを取り出し、ある人物に電話をかける。若菜がもしも逃げてしまった時に捕まえてもらわなきゃね……。

「もしもし、俺だ。前に話した若菜のことなんだが、もしも逃げた時にーーー。わかってる。報酬はきちんと払うよ」

何も知らない若菜は逃げても罠にかかるだけ。そう思うと、必死に逃げようと考えている若菜が可愛くて笑えてしまう。もう網は完全に張られている。
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