メリーバッドエンド
「ない……」

リビングを探し始めて数分、引き出しを全部探したけど、私の財布はどこにもない。となると、リビング以外の部屋に隠されているんだ。

今すぐにでも他の部屋を探したい。でも……。私は自身の足を見る。この鎖がある限りは無理だ。でも「外してほしい」って頼んだら圭さんに怪しまれる。

どうしたらいいか考えていると、廊下を圭さんが歩いてくる音が聞こえてくる。私はすぐにソファに飛び込むように戻った。ボスン、と音を立ててクッションに顔から倒れる。

「若菜、どうしたの?眠い?」

リビングに戻ってきた圭さんに心配される。私は「ちょっと眠くなってきちゃって……」と嘘をついた。圭さんは疑うことなく信じてくれる。

「そっか。なら、ちょっと一緒にお昼寝しよう」

私の頭を撫でた後、圭さんは私についている足枷を外した。外してもらえるなんて想像していなくて、私は「えっ!?」と驚いてしまう。

「ソファで寝たら風邪引いちゃうでしょ」
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