メリーバッドエンド

自分の心臓の音がやけにうるさく感じる。こんなに緊張したのは久々だ。

私は深呼吸をし、覚悟を決めた。ドアを開けた先に圭さんがいても、大声を出せばきっと誰かが助けてくれるはず。

未だに震える手でドアノブを掴む。ひんやりとしたドアノブの感触に、ブルリと体までもが震えた。

恐る恐るドアを開けていく。緊張はピークに達し、お腹がキリキリと痛んだ。でも五ヶ月ぶりの新鮮な風が心地よくて、心をリラックスさせてくれる。

ドアを開けた先に圭さんはいなかった。私はしばらく様子を伺った後、転がるような勢いで玄関から出る。私の靴は当然だけど、玄関に置かれていなかった。だから裸足で駆け出す。でも逃げられないわけじゃない。

五ヶ月ぶりに窓ガラス越しじゃない夜空を見た。流星群が流れているわけでも、スーパームーンでもないのに、月や星が特別輝いて見える。触れたフローリングじゃない地面の感触が愛しい。私、あのテレビで見た女の子のように脱出できたんだ！