もしも世界が終わるなら
『行かなくていいんじゃない?』
しいちゃんはそう言ったけれど、変に真面目だった私は先生からの呼び出しを無視する勇気はどこにもなかった。
『行かないと、明日怒られそうだから』
あからさまに気落ちした声で言うものだから、しいちゃんは気を使ったんだと思う。
『じゃ、代わりに俺が行くよ』
『でも……』
先生は呼び出す際に『いつも一緒にいては成長できないよ。ひとりだけで来なさいね』と釘を刺した。
今思えば、ふたりで行けばよかったのだ。せめて職員室の廊下で待っていればよかった。ううん。最初から自分が行って、しいちゃんに廊下で待っていてもらうべきだった。
『大丈夫だよ。すぐ終わらせるから、ちいちゃんは先にいつもの場所で待っていて!』
キラキラとまぶしい笑顔を残し、しいちゃんは職員室に向かった。