もしも世界が終わるなら
どうやら私は男受けのいい外見をしているらしい。美月ちゃんが普段から褒めてくれる。
背は低くもなく高くもなく、食べても筋肉がつかないタイプで華奢な体格。色白で、美月ちゃん曰く守りたくなる雰囲気を醸し出しているのだそう。
昔はそれが嫌だったのか、男の子と見紛う格好をしていた。
外でばかり遊んでいて日に焼けていたし、髪は短く、服装も男の子と変わらない半袖短パン。棒切れが服を着て歩いていると言っても大袈裟じゃないくらいの風貌で、今とは全くの別人だと自分でも思う。
月日が経ち、大人になった今はそれなりに女性らしくていた方が得なのだと心得ている。歳を重ねあざとくなってしまったと言うべきなのか、処世術を身につけたのだと言うべきなのか。
たまに本当の自分はどれなのだろうと思わなくもない。
そして、まさにその男の子みたいな出で立ちで、ある男の子とばかり遊んでいた頃の場所に今向かっている。
『男女の友情は成り立つのか』
今の私はハッキリ言ってノーだ。こちらが友情と思っていても、相手はそうは思ってくれない場面に多く出会すため諦めている。
しかし、あの頃は確かに存在していた。変わらないものはあるのだと信じたくて、それを見つけたくて、そして夏目さんの誘いにどう答えればいいのか。半分は現実逃避も兼ねた旅行となった。