もしも世界が終わるなら
「それなら正直に言うよ。俺がひとりは寂しい。邪魔はしないから、側にいさせてほしい。世界が終わるようなときなら、なおさら側にいたいな」
混じり気のない真っ直ぐな声は、ストンと私の胸に落ち着いて、それでいて少しばかりの甘酸っぱさを運んでくる。
椿の花言葉の話をしたら、夏目さんならなんと言うだろうか。笑い飛ばしてくれるのかな。それとも、ただ、「椿は綺麗だよ」と言ってくれるのかもしれない。
「私、まだほかにも、人と違う部分がたくさんあって」
「うん」
たくさんの伝えたいことや聞きたいことを飲み込んで、明るく言う。
「だから、まずは食事に行きましょう」
「ああ、そうだね」