今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
「まぁ、でも、今日見せてもらったこの記事には、私があえて指摘するようなことはないわ。合格点」

「ありがとうございます。これで自信を持って次に繋げられます」

「それにしても、今回に限ってはずいぶんと熱い記事だったわね。このお医者さんに惚れたの?」

ぎょっとして、思わず抱いていた赤ちゃんを強く抱きしめすぎてしまった。

うつらうつらしていた赤ちゃんが、再び「ふぇぇ」と泣きだしそうになって、慌ててゆらゆらと丁寧に揺らす。

「……動揺するのはいいけれど、落とさないでね」

「こ、心得ています!」

百合根さんが記事をチェックしてくれている間、生後一カ月になる娘さん――菜々ちゃんを抱っこさせてもらっていたのだ。

菜々ちゃんはかなりデリケートな性格らしく、ずっと抱いていないと泣いてしまう。

まだ小さく、頭も座っておらず、体はふにゃふにゃで力を入れたら潰れてしまいそう。

最初は触れるだけでドキドキしていたものの、二十分くらい抱っこしていたら、少しだけ慣れてきた。
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