今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
それから二週間が経ち、三月上旬。雑誌の発売日を迎えた。

西園寺先生には見本誌が届いている頃だけれど、お世話になった院長先生や眞木先生にもお見せするため、私は須皇総合病院へ向かった。

「ほおおお。格好よく撮れているじゃないか、西園寺先生」

招かれた院長室で、西園寺先生は院長先生にバンバンと肩を叩かれている。

西園寺先生はちょっぴり迷惑そうな顔で「それはどうも」と苦笑いを浮かべた。

「俺がやらなくて正解だったよ」

眞木先生は西園寺先生のキメ顔ショットを見ながら唸っている。

「みなさん、写真しか見てないようですけど。記事も読んでくれません? 俺、結構いいこと言ってるんですよ」

「それは白雪さんがうまいこと書いてくれたんだろう?」

「どっちにしろ西園寺先生の言葉はちょっと嘘っぽいかな」

どうやらふたりとも西園寺先生の本心だとは思っていない様子。

確かに、言い回しくらいは調整したけれど、ほとんどそのままなのになぁと私はひとり苦笑する。

「ご協力いただき本当にありがとうございました。おかげでいい記事が書けました」

「いやいや。こちらも宣伝してもらって助かるよ」
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