今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
だって、私を家に閉じ込めて、自分は外で浮気して遊ぶつもりなのよ!?
……と言いたいけれど口に出すのをためらわれ黙り込む。『それくらいは男の甲斐性よ!』と肯定されたら怖い。
母の反論が受話口から響いてくる。ああ、もうきりがない。
聞こえないように耳を離して、ヤケになって思いっきり叫んだ。
「私のしあわせを願うなら、お願いだからもっとマシな人と結婚させて!!」
そのとき。
携帯端末がすぽんと手から抜け落ちた。……いや、落ちたんじゃない、浮かんだ。
驚いて見上げると、そこに立っていたのは西園寺先生。
私の端末を耳に当て、「もしもしお電話代わりました」なんて呑気に喋っている。
「っ、西園寺先生!」
携帯端末を取り返そうとすると、彼はひょいっと身をかわした。
「西園寺と申します。はい。……ええ。杏さんとお付き合いさせていただいております。――結婚ですか? もちろん考えていますよ」
私をシッシッと手で追い払って、話をどんどん進めていく。
聞こえてくるのは不穏な会話内容ばかり。どうしてこんな展開になってしまったのか、私はハラハラしながら彼を見つめた。
……と言いたいけれど口に出すのをためらわれ黙り込む。『それくらいは男の甲斐性よ!』と肯定されたら怖い。
母の反論が受話口から響いてくる。ああ、もうきりがない。
聞こえないように耳を離して、ヤケになって思いっきり叫んだ。
「私のしあわせを願うなら、お願いだからもっとマシな人と結婚させて!!」
そのとき。
携帯端末がすぽんと手から抜け落ちた。……いや、落ちたんじゃない、浮かんだ。
驚いて見上げると、そこに立っていたのは西園寺先生。
私の端末を耳に当て、「もしもしお電話代わりました」なんて呑気に喋っている。
「っ、西園寺先生!」
携帯端末を取り返そうとすると、彼はひょいっと身をかわした。
「西園寺と申します。はい。……ええ。杏さんとお付き合いさせていただいております。――結婚ですか? もちろん考えていますよ」
私をシッシッと手で追い払って、話をどんどん進めていく。
聞こえてくるのは不穏な会話内容ばかり。どうしてこんな展開になってしまったのか、私はハラハラしながら彼を見つめた。