今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
許可を求めているのではなく、宣言をしたのだ。

とんでもなく嫌がれば止めてくれるだろうけれど、そこまでされないことを見越している。

彼の手が私のニットの裾をたくし上げ、お腹に触れる。温かな指先の感触に、びくりと震え上がった。

「や……西園寺先生……ダメ……」

「悠生って呼んでほしいな。『先生、ダメ』なんて言われると、なんだか悪いことしてる気分になっちゃう」

クスクスと笑って、からかうように私の肌に愛撫を施す。

這い上がってきた指先が、ブラの下に滑り込み、意地悪な場所をつつく。

「んっ! ああ……」

思わず身悶えた私を黙らせるように、彼は唇を塞ぎ、舌を滑り込ませた。その間も彼の指先は私をいじめ続けている。

……ダメだ、抵抗なんてできない。

まともな呼吸すらままならず、キスの合間に酸素を求めて肺が必死に上下している。

「かわいいね、杏。俺を煽ってくれているのかな?」

涼やかな声が響き、彼が存外冷静なことに気づく。

私の反応を見てからかっているの? お遊びのつもり?

けれど、ただ女遊びを楽しんでいるだけにしては、その目がやたら鋭利だ。

さっきの『俺と結婚して』はリップサービス? それとも……。
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