今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
「もっといろいろしてあげたくなったな。ベッドへ移動しようか」

そう怪しげに目を光らせると、私の体を横抱きにして奥の寝室に連れていく。

薄暗い室内。初めて入る彼の寝室、うっすらと見える大きなベッド。そこに寝かされ、彼は私の体を挟むように膝をついた。

まだ少し混乱した頭で、ぼんやりと彼のことを見つめながら、この先なにをされるのかなんてわかりきったことに思いを巡らせる。

「俺もいい加減、見合い写真の山をなんとかしなきゃならないなと思っていたんだ。だから――」

私に覆いかぶさり、挑発的な目で見下ろした。

「賭けをしないか?」

「賭け……?」

「そう。今夜、妊娠できたら俺と結婚する――どう?」

「冗談でしょう?」

「冗談だと思う?」

緩く首を傾げて、茶目っ気たっぷりに微笑む。

でも、目はどことなく真剣で、とても冗談を言っているようには見えない。

「……西園寺先生、どうかしてる」

「悠生って呼んでって言ってるのに」

彼が困った顔でクスクス笑っているのを見て、やはり悪ふざけだったのだと悟る。

いくらなんでもやりすぎだ。この期に及んでバカにして、そんな軽率な提案をするなんて。
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