今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
今私は、出版社『ブリリアントパブリッシング』に勤め、ライターとしてこの雑誌の編集に携わっているのだ。

今日の取材は『仕事に恋するメンズ』という連載モノ。

毎号魅力的なハイスペック男子に密着し、インタビュー記事を載せている。見開き二ページで写真あり。

今月号は消防士、来月はパイロットを予定している。全員、三十代のイケメンだ。

次は医師でどうかと企画会議で挙がり、私は眞木先生に白羽の矢を立てたというわけだ。

「写真付きの取材かぁ……少し恥ずかしいな」

彼は雑誌に掲載された消防士の写真を見て、困ったように頭をかいている。

ブルーの活動服に身を包み、腕を組んで仁王立ちした決め顔の写真が一枚。

防火衣を着て任務中の、躍動感のある写真が一枚だ。

「そんなこと言わないでくださいよ。私が知る医師の中で、眞木先生が一番のイケメンなんですから」

「いやー……俺、そういうタイプじゃないし……」

「病院側にも許可は取らせていただきました。院長先生も、病院の評判が上がるような記事なら大歓迎だって言ってくれていて」

「でも、それって俺じゃなくてもOKってことだよね?」

よっぽど写真が嫌なのだろうか、眞木先生が目を光らせる。
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