今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
開かれたクローゼットにはふわふわのナイティや室内着、暖かそうなガウンなどがたくさんかけられている。お腹を締めつけないタイプのワンピースや緩いシルエットの外出着もたくさん。

この短期間で、こんなに集めたの……!?

「これ……全部、買ってくださったんですか!?」

「急場しのぎだから、気に入ってもらえるか少し不安だったんだけど……まぁ、足りないものがあればこれから少しずつ買い足していけばいい」

彼がはにかむように笑う。私への気遣いが伝わってきて、じんと胸が熱くなる。

そういえば、彼からちょこちょことそれらしいメールも来ていた気がする。好きな色は?とか、好きなブランドは?とか。

でもそれって、妊娠が発覚する前だったような。

「私が妊娠の報告をしてすぐ準備してくれたんですか?」

「いや。君と子作りした直後から。絶対結婚するって決めていたから、遅かれ早かれ部屋が必要だと思って。ダイヤもさすがに一週間じゃ調達できないからね。前もって準備していたよ」

……なんて用意周到な……。

子どもができなかったらとか、プロポーズを断られたらとか、考えなかったのだろうか……ちょっと唖然としてしまうけれど。

その頃から私のことを真剣に考えてくれていた証拠だ。

妊娠しなかったとしても、私を恋人として、婚約者候補として、この家に招いてくれるつもりだったのかもしれない。
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