今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
「俺、もっととんでもないイケメン医師知っているよ。紹介しようか?」

もしかして、別の誰かに押しつけようとしている……?

そうまでして自分の顔が雑誌に載るのが嫌なのだろうか。

「……そんな方、いらっしゃるんですか?」

「うん。外科なんだけどね。しかも専門は循環器」

「はぁ……」

循環器ということは、心臓や血管を見るお医者さまだろうか?

眞木先生が言った『しかも』の意味がわからず、私はキョトンと首を傾げる。循環器の外科って、偉いの?

「心臓血管外科医――なんかいい響きだろう? だいたい、整形外科より普通の外科のほうが女性ウケもいいし」

「そ、そうでしょうか……? 私は整形外科でもいいと思いますけど」

「いやいや、整形って言ったらアレだよ、手術道具はドリルやボルトで、大工仕事みたいだし、手術着なんてまるで宇宙服だ。それに比べて、外科医はメス、手術着だってシュッとしている。絶対に映えるって」

「そう……なんですか??」

手術中の写真なんて掲載しないだろうから、別にそんなことは気にしなくてもいいのだけれど。

でも、眞木先生はどうしても別の人に押しつけたいらしく、その心臓血管外科の先生をやたらと勧めてくる。
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