今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
眞木先生は、今度あらためてお祝いをするからと言って通話を切った。

端末をテーブルに置いた私は、悠生さんに詰め寄る。

「前にも会ったって、どうしてもっと早く教えてくれなかったんですか?」

気づかなかった私も私だけれど、教えてくれない彼も彼だ。だってまさか、研修医だとは思わなかったんだもの。

けれど、悠生さんは不機嫌そうに顔をしかめて、私の頬をふにっと摘まんだ。

「気づかない君が悪い」

意地悪にそう言い放ち、重ねた唇は驚くほど優しかった。



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