今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
「……これ、受け取ってほしくて」
「ありがとう。でも、ゴメン。前にも言ったと思うけど、患者さんからはなにも受け取らないことにしているんだ。お返しもできないから」
「お返しはもうもらってる。心臓、直してくれたじゃない」
「それは医師として当然のことをしただけだよ」
彼が女の子の頭をくしゅくしゅと撫でる。女の子は恥ずかしそうに顔を赤くしてうつむいた。
「君の気持ちは充分もらったから。もう病棟なんて来ないで、日常生活に戻って」
女の子はおずおずと帰っていく。彼は「また定期健診でね」と手を振って、そのうしろ姿を見送った。
「今の女の子は……」
「うん。一カ月前に退院した患者さん。たまに物陰から俺のことを見ているみたいで」
困った顔で笑う彼。物陰に隠れてついてくるのはどうかと思うけれど、笑っているところを見ると、さして迷惑はしていないようだ。
「感謝してくれるのはうれしいんだけどねぇ……」
感謝というか、あの目は完全に恋だった。
「中学生にまでモテるなんて……」
思わず感心してつぶやく。
「ありがとう。でも、ゴメン。前にも言ったと思うけど、患者さんからはなにも受け取らないことにしているんだ。お返しもできないから」
「お返しはもうもらってる。心臓、直してくれたじゃない」
「それは医師として当然のことをしただけだよ」
彼が女の子の頭をくしゅくしゅと撫でる。女の子は恥ずかしそうに顔を赤くしてうつむいた。
「君の気持ちは充分もらったから。もう病棟なんて来ないで、日常生活に戻って」
女の子はおずおずと帰っていく。彼は「また定期健診でね」と手を振って、そのうしろ姿を見送った。
「今の女の子は……」
「うん。一カ月前に退院した患者さん。たまに物陰から俺のことを見ているみたいで」
困った顔で笑う彼。物陰に隠れてついてくるのはどうかと思うけれど、笑っているところを見ると、さして迷惑はしていないようだ。
「感謝してくれるのはうれしいんだけどねぇ……」
感謝というか、あの目は完全に恋だった。
「中学生にまでモテるなんて……」
思わず感心してつぶやく。