今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。ブリリアントパブリッシングの白雪です。この度は取材を許可していただきありがとうございました」
名刺を差し出して頭を下げると、院長先生は「ああ」と快く受け取ってくれた。
「君が眞木先生を取材したいって言っていた出版社の方だね。丁寧にありがとう。私が院長の須皇です」
人好きのする温和な笑み。
ちらりと手術室に目をやって「そういえば、取材の対象を西園寺先生に変えるって言ってたっけ? まぁ、彼のほうが若いし映えるよねぇ」なんて軽口を叩いた。
横で聞いていた眞木先生が苦笑する。
「それで、手術の調子はどう? 今のところ問題は起きていない?」
「ええ。西園寺先生はまったく問題なさそうですよ。ただ、第一助手が少々もたついていますね」
「だろうね。まだ経験の浅い子なんだ。第一手術室でやっている予定手術に人員をとられて、若いメンバーしか残っていなかったらしい。逆に、西園寺先生が残ってくれていたのは幸いだった。彼しかこの難手術はこなせなかっただろう」
ふたりはモニターを見つめむずかしい声をあげる。西園寺先生の指先がするする動いていくのに対し、第一助手の手はどこかぎこちない。
名刺を差し出して頭を下げると、院長先生は「ああ」と快く受け取ってくれた。
「君が眞木先生を取材したいって言っていた出版社の方だね。丁寧にありがとう。私が院長の須皇です」
人好きのする温和な笑み。
ちらりと手術室に目をやって「そういえば、取材の対象を西園寺先生に変えるって言ってたっけ? まぁ、彼のほうが若いし映えるよねぇ」なんて軽口を叩いた。
横で聞いていた眞木先生が苦笑する。
「それで、手術の調子はどう? 今のところ問題は起きていない?」
「ええ。西園寺先生はまったく問題なさそうですよ。ただ、第一助手が少々もたついていますね」
「だろうね。まだ経験の浅い子なんだ。第一手術室でやっている予定手術に人員をとられて、若いメンバーしか残っていなかったらしい。逆に、西園寺先生が残ってくれていたのは幸いだった。彼しかこの難手術はこなせなかっただろう」
ふたりはモニターを見つめむずかしい声をあげる。西園寺先生の指先がするする動いていくのに対し、第一助手の手はどこかぎこちない。