キミに好きだと伝えたい


「戻ります」


気付いたらそう口にしていた。

いつの間にか空は真っ暗で冷たい風が吹いている。

喉もカラカラだしお腹だってすいた。



この世界はこの世界で変わらず進んでいくのだと思うけれど、少しだけ寂しさも感じた。

でも戻ってこれる。

わたしは今までの自分を捨てて生まれ変わってこっちの世界に戻ってくる。



「わかりました。そちらの時計に戻りたい日付と時刻を設定して横のボタンを押してください。その瞬間あなたは過去に戻ります」


強い風が吹いた。


まるでさっきまでの出来事がすべて嘘のようにけやきの木はいつも通り、女性の姿もなかった。


「幸運をお祈りします」そんな言葉が風とともに耳に届いた。

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