碧色の恋。


「この色、碧色って言うんだってね」


わざとなのか、狙ったのかこの人は今"あおいろ"と言った。
この先の話を聞きたくない。聞くのが怖い。


「この色、なんだか碧くんみたいじゃない?」


「……匂わせ、ですか」


「ふふ、そんなんじゃないよ。でも、わたしにとって碧くんは大事な人。」


その"大事な人"にどういう意味が含まれてるのか、そこまでは分からない。もうこれ以上は何も聞きたくない。


「すみません、アイス溶けちゃうので、失礼します」


自分の分のドリンク代だけテーブルに置き、私はカフェから飛び出した。


やっぱり、椿先輩は七瀬くんと浮気してるの?


七瀬くん、椿先輩のこと嫌いって言ってたのに。


苦しい。悲しい。





私は───七瀬くんが好きなのに。
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