碧色の恋。
花火大会当日の昼。
スマホには花火大会一緒に行こうとの誘いの連絡が山ほど来ている。当然全部無視だけど。
その連絡の中に、あいつ───椿先輩も入ってる。
「碧、今年こそは琴音ちゃんと行くの?」
「やめろよ母さん、俺が人混み嫌いなの知ってるだろ」
幼なじみ───琴音と行くのが嫌とかじゃなくて、
単純に人混みが嫌いなだけ。
それにああいうところに行ったら、絶対クラスのやつに捕まるし。そういうのもめんどくさい。
夕方、バルコニーに出てみると花火大会に行く人の行列が目に入る。行かなくてよかったと心底思う。
それに俺らの部屋はマンションの7階だし、バルコニーからでも花火は見れる。