碧色の恋。


「……ねぇ、ことちゃんそいつ、誰?」


隣で明らかに不機嫌そうに俺の顔を睨みつける。
それはそうだろう、だってそれは俺も思うから。


「えっと…彼は……隣に住んでる人で……」


"幼なじみ"です、って言えばいいのに。
まあ言うなって言ったのは俺なんだけど。



「隣に住んでる人?えーっと"あおい"だっけ?」


まさかその男から俺の名前が出てくるとは思わず驚いた。
こいつは俺の事、知っているのだろうか。


「"あおい"は俺だけど?」


そう返すと、その男はその何倍も驚いた顔をした。


「えっ、あおいって男なの!?」


琴音は何も言えず、黙って頷いてるだけだった。


「どーも、七瀬碧です」


「"ななせあおい"ってフルネームで聞いても男か女か分かんねー名前だな」
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