碧色の恋。



湯船に浸かりながら、さっきのことを思い出す。
私、七瀬くんに……キスされた。


『俺のことは、名前で呼んでくれないくせに』


七瀬くんのこと名前で呼んでいいのかな。
呼んでもいいなら、そう呼びたい。でも。


『下の名前で呼ぶから、嫌い。』


椿先輩は下の名前で呼んでるから、嫌いって言ってた。
じゃあ私も名前で呼んだら、嫌われちゃうんじゃ……


あぁ、もう考えれば考えるほど分からなくなる。
七瀬くんのことは大好きだけど。


「私は隙なんて……見せてない、はず」


それでもまだ、唇も、体も、七瀬くんに触れられたところが熱い。


「あおくん、すき……」


そう呟いた直後、私の意識はなくなった───
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