碧色の恋。



いよいよ颯ちゃんが帰る日になってしまった。
颯ちゃんの両親が車で迎えに来てくれてるらしく、エントランスに居るって言ってた。


「ことちゃん、急だったのにありがとね!」


「ううん、こっちこそ楽しかったよ」


あ、まだ颯ちゃんに返事してないや。
今言った方がいいのかな。でも……


「ことちゃん、1個だけ、わがまま言っていい?」


「え?うん、いいよ。なに?」


「ことちゃんは、目閉じてくれればいいから」


「うん、わかった」


颯ちゃんに言われた通り、目を閉じる。
ふわっと颯ちゃんの匂いが近くに来た。


「そ、ちゃ…ん?」


「もう少し、閉じてて」


次の瞬間、首筋に電流でも流れたんじゃないかっていうような痺れが来た。


「もう目開けていいよ、じゃあおれ帰るね」


そう言って颯ちゃんは帰ってしまった。
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