碧色の恋。


私と七瀬くんは同じ方向だけど、しまちゃんは途中の道を曲がって帰ってしまう。そういえば颯ちゃん転校して来たのはいいけど、家どこなんだろう。


「あれ、もしかして七瀬くん!?」



しまちゃんが次の十字路で曲がる少し手前で別の高校の女の子に声をかけられた。


「あたしのこと覚えてないー?ホラ、中学校の頃同じクラスだった前田由奈(まえだゆな)だよ」



その名前を聞いて、私は一瞬息が出来なくなった。
どうか、私に気付きませんように。



なんて、私の願いは叶わず。



「じゃあそこにいるの琴音?」


由奈ちゃんは私の方を指差してそう言った。
やっぱり、気付かれた。


どうしよう、うまく息が出来ない。
お願い、由奈ちゃん早くどこかへ行って。


「そういえばー…」


由奈ちゃんの口が開いた。
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