【1/2 英語版③巻オーディオブック発売・電子先行③巻発売中】竜の番のキノコ姫 ~運命だと婚約破棄されたら、キノコの変態がやってきました~ 第1章
55 付録 「今日のキノコ」図鑑 (五十音順一覧&キノコ解説)
「今日のキノコ」として紹介されたキノコ達を加筆してまとめました。
楽しんでいただければ幸いです。
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名前(漢字)
キノコ情報。
「登場したお話のタイトル」
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**【 キノコの名前 五十音順 一覧 】**
アカモミタケ(赤樅茸)
アカヤマタケ(赤山茸)
アカヤマドリ(赤山鳥)
アンズタケ(杏茸)
イヌセンボンタケ(犬千本茸)
ウスタケ(臼茸)
ウラベニホテイシメジ(裏紅布袋占地)
オオクロニガイグチ(大黒苦猪口)
オオホウライタケ(大蓬莱茸)
オオワライタケ(大笑茸)
オシロイシメジ(白粉占地)
オトメノカサ(乙女傘)
カエンタケ(火炎茸)
キクラゲ(木耳)
キソウメンタケ(黄素麺茸)
キツネノエフデ(狐の絵筆)
キララタケ(雲母茸)
クチベニタケ(口紅茸)
クロラッパタケ(黒喇叭茸)
コウボウフデ(弘法筆)
コンイロイッポンシメジ(紺色一本占地)
ササクレシロオニタケ(細裂白鬼茸)
ササタケ(笹茸)
サンゴハリタケ(珊瑚針茸)
シイタケ(椎茸)
スギタケ(杉茸)
ススケヤマドリタケ(煤山鳥茸)
セイヨウショウロ(西洋松露)
ソライロタケ(空色茸)
タマゴタケ(卵茸)
タモギタケ(楡茸)
タコスッポンタケ(悪魔の指)
チョレイマイタケ(猪苓舞茸)
ツキヨタケ(月夜茸)
ツチグリ(土栗)
ツチスギタケ(土杉茸)
ドクササコ (毒笹子)
ドクベニタケ(毒紅茸)
ナメコ(滑子)
ナラタケ(楢茸)
ニオイコベニタケ(匂小紅茸)
ニシキタケ(錦茸)
ネツサガール(そんなものはない)
ノボリリュウタケ(登竜茸)
ハタケシメジ(畑占地)
ハナオチバタケ(花落葉茸)
ハナガサタケ(花笠茸)
ハナビラニカワタケ(花弁膠茸)
ヒイロタケ(緋色茸)
ヒカゲシビレタケ(日陰痺茸)
ヒトクチタケ(一口茸)
ヒナノヒガサ(雛日傘)
ブリーディング・トゥース(流血する歯)
ベニテングタケ(紅天狗茸)
マツオウジ(松旺子)
マツタケ(松茸)
ミミブサタケ(耳総茸)
ムラサキナギナタタケ(紫薙刀茸)
ヤマブシタケ(山伏茸)
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===【 キノコ紹介 】===
アカモミタケ(赤樅茸)
淡橙黄色の傘を持ち、見た目は椎茸と平茸の間で「ああ、食べられそう」という感じ。
うま味があるけれど、ぼそぼそしているらしい。汁に入れたい。
傷がつくと橙朱色の乳液が出るらしいので、見てみたい。
「それは乳液じゃない。心の汗だ」と主張しているが、濁った汗はどうかと思う。
「ハンカチはお返しします」
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アカヤマタケ(赤山茸)
赤、橙、黄色などの、1.5~5cmほどの大きさの円錐形の傘を持つ。
ぱっと見、お菓子のキ〇コの山。
だが、体質次第で中毒症状が出るので、一応毒キノコ。
「たとえ命の危険があろうともそこにキノコがある限り、食す」というキノコの勇者の訪れを、心待ちにしている。
「胞子と菌糸の奪い合い」
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アカヤマドリ(赤山鳥)
黄褐色~橙褐色の傘は、直系30cmになることもある、大きなキノコ。
成長すると傘にひび割れができ、焼き立てのパンのようにも見える。
巨大ブールか巨大メロンパンという感じ。
毒はないが、虫がつきやすいらしい。
「虫が食べるってことは、美味しい証だから」と言ってはいるが、本当は虫がつくのを嫌がっている。
「胞子と菌糸の奪い合い」
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アンズタケ(杏茸)
橙がかった鮮やかな黄色の傘を持つキノコ。
ヨーロッパでは食用だが、国内では毒キノコ……どういうことだろう。
肉の部分は強い杏の様な香りがする。
クロード愛用の香水の材料で、まさかの香水加工に本人(本茸)が一番衝撃を受けている。
アニエスのことを慰めてくれたお礼に、香水にされる覚悟で生えた際には、クロードに口づけられた。
「王子様のキス」をアニエスよりも先に受けたことについて、オトメノカサに呼び出されて説教された。
「もはや、ただのキノコです」「噂なんて、そんなものです」
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イヌセンボンタケ(犬千本茸)
白色~薄い灰色で傘の直系は1cmくらいで、群生する。
見た目はホワイトチョコのアポ〇そのものなので、ちょっと可愛い。
毒でもないが食用でもないらしい。……美味しくないのかな。
特技の「群生」を買われ、乙女な気配を盛り上げるべくオトメノカサに引っ張り出されることがある。
群生はそういう使い方をするものではないと訴えているが、聞いてもらえない。
「でも、ドレスがありません」「コミュニケーションの方向性がアレです」
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ウスタケ(臼茸)
赤いラッパ型の傘を持つ毒キノコ。
消化器系の中毒を起こすが、特徴的な味はない……また、誰か食べたらしい。
アニエスを慰めるため一曲演奏しようとしたが、ラッパ型でもキノコなので音は出ないことに気付いた。
だが、諦めなければいつか音が出るのではないかと、特訓中。
「安全が第一です」
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ウラベニホテイシメジ(裏紅布袋占地)
帯灰褐色の傘に太い柄を持った食用キノコ。
苦みがあるので、茹でこぼすか焼く処理が必要。
更に、毒キノコのクサウラベニタケやイッポンシメジと似ているので、十分な注意が必要。
アニエスも好きだがケヴィンのことも気に入っていて、色々注意を促すために生えた世話焼きシメジ。
「精霊の加護」
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オオクロニガイグチ(大黒苦猪口)
黒褐色のビロード状の傘を持ち、肉は傷つけると紅変し黒変するという変身キノコ。
ニガイグチの仲間にしては苦くないらしい……キノコの勇者が「利きニガイグチ」をしているようだ。
クロードへの「助けに来てくれてありがとう」と、「うちのアニエスが迷惑をかけてごめん。でも、もう少し早く来て」という要望の間を取って、「苦いけれど食べられる」キノコが献上された。
アニエスを助けてくれたお礼にクロードの手袋の穴を塞ぐ、義理堅さを持つ。
苦いのか苦くないのかハッキリしてほしいのが、最近の悩み。
「たぶん、キノコ狩りです」「竜の血とキノコの変態」
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オオホウライタケ(大蓬莱茸)
細い柄に黄土色の傘で、成長すると縁が反り返って雨傘っぽい。
食用に適さないらしいが、傘が全開の榎茸に見えなくもないので、いけそうな気もする。
いつか大きくなったら、キノコの雨傘としてアニエスに使ってもらうのが夢。
「もう一度、会いたかった」
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オオワライタケ(大笑茸)
黄褐色のブナシメジという見た目。
名前から察することができるが、毒キノコ。
神経系の毒があり、異常な興奮、幻覚、意識障害などが起こるらしく、全然笑えない。
キノコ界のにぎやかし要員であり、特技の群生を活かしていろんな場所に生えまくる。
仲間が増えすぎると、合体してキング・オオワライタケになるという噂もある。
ノリが合うオトメノカサとは仲が良く、アニエスの結婚式には一緒に大増殖しようと目論んでいる。
「史上最低のプロポーズ」「麗しのキノコの変態王子」「はやまったかもしれません」「キノコとの出会いを喜んでいるようです」「キノコ姫とキノコの変態王子」
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オシロイシメジ(白粉占地)
白粉を塗った様な白い傘のキノコ。
消化器系の中毒を起こす毒キノコで、特徴的な味はない。
……どこかの勇者が食べてしまう程度には、美味しそうなルックスということか。
アニエスを囲む女性達の化粧に反応して生えてみたが、タイミングを間違えたことがある。
一度、本物の白粉にまみれてみたいという夢を持っている。
「もはや、ただのキノコです」
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オトメノカサ(乙女傘)
乳白色の傘を持つ、小さくて可愛らしいキノコ。
酢の物、和え物などにされるが、くせがなくて食べやすい。
乙女な気配を感じると逃すことなく生えてくる、恋バナ大好きな野次馬キノコ。
興奮と共に仲間のキノコを引き連れてくる様子から、オトメノカサに連れ出されることを「乙女ツアー」と呼ばれている。
だが添乗員であるはずのオトメノカサは「包み込まれた!」とか「キスぅ!」などと叫ぶのに忙しく、参加者を放置している。
乙女な気配と運命の赤い菌糸の気配は重複することも多く、一時ベニテングタケと出番争いを繰り広げていたが「菌類、皆兄弟」の合言葉で和解した。
「大切な人だから」「もはや、ただのキノコです」「安全が第一です」「習性って、恐ろしいです」「ご安心ください」「コミュニケーションの方向性がアレです」「キノコとの出会いを喜んでいるようです」「噂なんて、そんなものです」「キノコ姫とキノコの変態王子」
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カエンタケ(火炎茸)
燃え上がる炎や鹿の角の様な形の、赤いキノコ。
致死量は数グラムで、触れるだけでも毒素が吸収されるという、猛毒キノコ。
ササクレシロオニタケの緊急通報と、アニエスの恐怖に反応して生えてきた、毒キノコ界の重鎮。
アニエスのトラウマを引き出した男達には、「殺しはしない」と言って皮膚の炎症で許してあげた。
だが、フィリップは許せなかったらしく「毛根もげろ」というブノワの祈りに応じてフィリップの頭皮に降臨した。
触れるだけでも皮膚に炎症を起こすので、生えた部分の毛根はほぼ、もげることだろう。
自身の猛毒ぶりを理解して普段は自制しているが「アニエスを長年いじめやがって」という理由でためらいなく毛根の焼き討ちを決行した。
「素が出ました」「竜の血とキノコの変態」「邪魔者は、消えますから」
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キクラゲ(木耳)
黒褐色のひらひらした形の、食用キノコ。
そのまま食べても乾燥しても良し、食感の優秀さが自慢。
オオクロニガイグチに誘われ、クロードの手袋を華やかにしようと、精一杯ゼラチン質をプリプリさせている。
幼少時には「自分は海藻かもしれない」とキノコのアイデンティティの危機を経験している。
「竜の血とキノコの変態」
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キソウメンタケ(黄素麺茸)
地面からフライドポテトがニョキニョキという感じの、黄色い棒状のキノコ。
素麺の名を冠するだけあって食べられるが、食べ応えがないらしく食用としての価値は低い。
そして、食べるのには勇気が必要らしい。
自分は勇気の証なのだと、ちょっと誇らし気にニョキニョキしている。
ヒナノヒガサの悩み相談に乗る、情に厚い一面を持ち、早とちりしたヒカゲシビレタケを慰める優しさもある、兄貴分なキノコ。
「キノコ愛が露骨です」「キノコの騎士とキノコの王子」「それはキノコの幻です」「キノコの手紙が届きました」
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キツネノエフデ(狐の絵筆)
卵型の幼菌から濃い紅色の棒のような本体が伸びていて、先端の粘液が悪臭を放つキノコ。
毒はないのだが、悪臭のキノコをあえて食べる勇者はいないらしい。
「アニエスをいじめる女には、悪臭がお似合いだ」と言って、サビーナの頭上から悪臭を三割増しで放ち始めた。
ヌメリ系キノコの先輩格であるナメコの言葉に影響され、悪臭粘液をたっぷりとサビーナの頭に垂らした。
「最終日なのに、過酷です」
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キララタケ(雲母茸)
雲母のようにキラキラ光る細かい小鱗片を持った、淡い黄褐色の傘のキノコ。
お酒を飲む人が食べると酷い食中毒を起こすキノコで、クロードにセクハラ(肉色の暴露)されたスギタケに代わって「お酒に注意」と伝えに来た。
頑張って伝えているのにクロードがすぐにもぎ取るので、意地になって生え続けていたが、アニエスの意思によって強制終了になった。
「まだ決着はついていない」とクロードとのリベンジマッチに意欲を見せている。
「最終日なのに、過酷です」
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クチベニタケ(口紅茸)
傘部分が黄土色の球体で、その頂に赤橙色の星型の孔を持つキノコ。
たこ焼きのてっぺんに穴が開いていて、穴の端が紅ショウガで染まっている感じ。
名前通り、まるで口紅をつけた唇の様な見た目。
「唇! 唇!」と興奮したオトメノカサに有無を言わさず連れ出されたが、密かに普通の傘を持たないことに悩んでいたので、ちょっと自信がついた。
「習性って、恐ろしいです」
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クロラッパタケ(黒喇叭茸)
黒い漏斗型をしていて、ラッパの様な見た目のキノコ。
別名「死のトランペット」だが、ヨーロッパでは日常的に食べられていて、スープに入れると美味。
……ネーミングがおかしいと思う。
アニエスの意思を汲み、一曲演奏してクロードの気を逸らそうとしたが、キノコなので音が出なかった。
ウスタケと一緒にラッパ教室に通いたいと思う、今日この頃。
「コミュニケーションの方向性がアレです」
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コウボウフデ(弘法筆)
青灰色の棒の先端が潰れたような形の、非常に珍しいキノコ。
固い柄もしっかりしていて、名前の通り頭部の胞子で紙に文字を書く事ができる。
「キノコの変態に贈る餞別」というアニエスの思いに応えてやって来た、激レアキノコ。
クロードに早々にむしり取られ、ポケットの中で事の成り行きを見守っている、傍観者キノコ。
ようやくアニエスが笑ってくれたこの感動を、一筆したためたい気分。
だが、自力で逆さになって文字を書くのは困難なので、アニエスにお願いしたいと思っている。
「愚かな想いが育つ前に」「運命の赤い菌糸、ですか」「キノコ姫とキノコの変態王子」
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コンイロイッポンシメジ(紺色一本占地)
濃い青色の傘を持つキノコ。
毒はないらしいが、色が色なので食べてはもらえない。
黄色に変色するソライロタケよりも、自分がモデルに相応しいと主張していた。
クロードに「美しい」と褒められて満更でもない。
ソライロタケと話し合った結果、クロードの髪色はコンイロイッポンシメジの方が近いという結論になり、青色キノコの代表としてピンと傘を張って生えている。
「キノコの変態とキノコのブローチ」「ご安心ください」「キノコに呪われています」
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ササクレシロオニタケ(細裂白鬼茸)
大きなイボが特徴的な白いキノコで、柄の部分にささくれがある。
全身美白した、ベニテングタケという感じ。
一応毒とされているが可食ともされている……って、怖くて食べられない。
アニエスの身辺や心理状況に心を配る、監視キノコ。
アニエスの枷が外れ、長年フィリップを保護していたノー・キノコ枠が消滅した際には、全キノコに緊急通達する役目を果たした。
アニエスを泣かせたのでクロードも監視対象だったが、むしられ、くるくると回され、初めての目が回る感覚が気に入った様子。
「あいつは悪くない奴だ」とクロードの評価が上がったが、理由がおかしい。
「話しかけないでください」「可愛いという、心のない言葉」「たぶん、キノコ狩りです」「信じていたのに」「竜紋の真実」「キノコ姫とキノコの変態王子」
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ササタケ(笹茸)
オリーブ褐色の傘を持つキノコ。
見た目はココアパウダーまみれの椎茸のような感じで美味しそうだが、毒キノコ。
消化器系の中毒症状が出るらしい。
「皿の上なら、お菓子だと思ってもらえるかもしれない」と言って、自ら皿に生えて人間を待つチャレンジャー。
「麗しのキノコの変態王子」
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サンゴハリタケ(珊瑚針茸)
真っ白な珊瑚の様な見た目の食用キノコ。
取るのが難しく、ゴミがつきやすいらしい……トゲトゲに絡まるのだろうか。
「クロードの白いシャツに生えるのは誰だ」選手権を見事に勝ち上がった、勝者キノコ。
勝者の特権としてクロードのシャツに生えたが、シャツよりも自分の方が白いと密かに勝ち誇っている。
「キノコとの出会いを喜んでいるようです」
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シイタケ(椎茸)
茶褐色の傘を持つ、愛され食用キノコ。
煮て良し、焼いて良し、干しても良しの万能選手。
遠い親戚のツキヨタケが命がけの指令を受けたと聞いて、誤食を促すために共に食べられる覚悟を持っている。
……でも生えるタイミングを間違えたので、美味しく食べられそう。
「こう言っては何だが、キノコだっておじさんよりも麗しの王子に生えたい」とぶっちゃけた、カミングアウトキノコ。
カエンタケの招集に応じて、木箱を腐食させるべく増殖した「木材腐朽菌倶楽部」の一員。
「無関係です」「男心とキノコ心」「素が出ました」
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スギタケ(杉茸)
ささくれた鱗片を持つ、黄褐色の傘のキノコ。
体質によって中毒を起こすし、酒と一緒に食べると悪酔いする。
アニエスに「夜会ではお酒に気を付けろ」というメッセージを伝えるべく生えてきた、お節介キノコ。
だがクロードに身の内(肉の色)まで暴露されるというセクハラを受けて、ちょっと恥ずかしい思いをした。
「ひとめぼれで首ったけ」「キノコに呪われています」
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ススケヤマドリタケ(煤山鳥茸)
ビロードのような質感の暗褐色の傘を持つ食用キノコ。
傘の直径が15cmを超えるものもあるが、炒めてよし焼いてよしなので、寧ろありがたい。
興奮するアニエスをなだめるべく、命を賭す覚悟を決めている。(晩御飯のおかず)
厨房に運ばれる際にはアニエスに「また会えるさ(晩御飯のおかず)」と言ったが、伝わっていない。
厨房では「今日は焼かれる気分」と訴えたが、あえなく煮られた。
「はやまったかもしれません」「キノコの手紙が届きました」
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セイヨウショウロ(西洋松露)
大理石状の模様を持ち、小さな突起が無数に見られる塊状のキノコ。
いわゆるトリュフで、三大珍味にも数えられる高級食用キノコ。
アニエスの心が乱れたのを心配して「良かったら食べて。売ってもいいよ」と慰めるために生えてきた、心優しく懐にも優しいキノコ。
だが、クロードへの餞別にされてちょっと困惑気味。
白と黒で値段が違いすぎるのが、目下の悩み。
「竜の血と番」「愚かな想いが育つ前に」
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ソライロタケ(空色茸)
空色の小さな傘を持つキノコで、毒の有無は不明。
傷付いたり触れると黄色に変わる、繊細なキノコ。
クロードが青いキノコのブローチを買ったので、自分がモデルなのだと主張していた。
変色しないようにというクロードの気遣いに感激し、クロードを応援するようになった。
「キノコの変態とキノコのブローチ」「ご安心ください」
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タマゴタケ(卵茸)
卵型、饅頭型、平らな形に変化する、赤いキノコ。
似ている毒キノコも多く、安易に食べてはいけないが、食べたら美味しい。
親戚のベニテングタケが多忙だったため、「運命の赤い菌糸を感じたらしい」という理由で派遣されたことがある。
「湯上り卵肌」という言葉は自分のことだと思って茹でられてみたところ、美味しく食べられてしまった、うっかりキノコ。
「大切な人だから」
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タモギタケ(楡茸)
鮮やかな黄色の傘を持つ、食用キノコ。
特技は群生で、味も良く、いいお値段。
キノコ達の怒りの「フィリップ、ツキヨタケ誤食大作戦」に巻き込んでしまったクロードに対する、お詫びキノコ。
「タモギタケは美味しく食べていいから、フィリップの口にツキヨタケを突っ込め」という意味もあった。
「木材腐朽菌倶楽部」の一員で、全力で群生して木箱と林檎を腐敗させつつ、キノコの山に彩りを添えていた。
「無関係です」「素が出ました」
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タコスッポンタケ(悪魔の指)
卵の殻のような物を破って真っ赤な触手が伸び、黒い粘液のまだら模様に覆われているキノコ。
どう見ても地面から逆さに生えた蛸の足という見た目で、吸盤にも見える粘液が腐肉臭を放つ。
「嗅覚を刺激して鼻をもぐ」と宣言し、フィリップの背中で蛸の足を広げて虎視眈々と機会を窺っている。
アニエスと距離を取ってから、五割増しの腐肉臭を惜しげもなく振りまく予定。
その後、サビーナの頭上のキツネノエフデに出会い、意気投合して更なる悪臭を振りまいた。
「邪魔者は、消えますから」
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チョレイマイタケ(猪苓舞茸)
木の根に寄生するキノコの一種で、黄褐色の小さな傘の集合体の様な見た目。
菌核はかの有名な猪苓湯になったりする、有名キノコ。
今回はモデルのモデルなので、出番なし。
一度もアニエスに会えなかったのが寂しくて、ネツサガールを捕まえてはアニエスの様子を聞いている。
「どれだけキノコが欲しいのですか」「無関係です」
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ツキヨタケ(月夜茸)
暗褐色の傘を持ち、闇の中ではうっすら緑色に光るキノコ。
胃腸系中毒症状が激しい猛毒キノコで、死亡例もある。
アニエスに対するフィリップの態度に怒ったキノコ達から、「シイタケとの誤食を狙う」という命がけの指令を受けて生えてきた。
シイタケとは仲が良く、今度いつシイタケとの誤食を狙う事態になってもいいように日夜シイタケっぽい傘を研究している。
「無関係です」
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ツチグリ(土栗)
ヒトデのような外皮の真ん中に球体があり、皮を剥いたオレンジのような見た目。
本来褐色だがフィリップに対する怒りからオレンジ色に変化した結果、本当に皮を剥いたオレンジのようになった。
「愛情の色じゃない! 怒りの色だ!」と更に怒っている。
アニエスによるノー・キノコ枠という保護が外れたフィリップに、一言文句を言ってやろうと胞子をぶちまけた。
「ドクササコの様に、口の中に攻撃すれば良かった」とまだまだ文句を言い足りない様子。
「邪魔者は、消えますから」
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ツチスギタケ(土杉茸)
淡い褐色に濃い褐色の鱗片があり、見た目にはこんがり焼き目のついた色白の椎茸。
肉は食感に優れているが、嘔吐や吐き気などの消化器系の中毒症状が起こるらしい。
……最初に食べた人が『食感、最高!』と言って吐いたのか、吐くと分かった上で食べて『食感、最高!』と言ったのか、気になる。
モーリスのハンカチの中でハナオチバタケに先輩風を吹かせていたが、実は食べては吐かれることを気にしている繊細なキノコ。
「正気に戻るまでは」「結局はキノコですか」
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ドクササコ (毒笹子)
黄土褐色の中央がへこんだ傘を持つ猛毒キノコで、攻撃の陰湿さに定評がある。
体内潜入後、潜伏4~5日後から手足の先と陰茎のみを執拗に攻撃し、激痛を1か月以上継続させる。
何故、そこを狙うのかは謎。
「アニエスを長年抑圧した罪は、陰茎激痛罪に値する!」と訴えてカエンタケの許可を取り、口の中に特攻を仕掛けて殉死した、勇猛果敢なキノコ。
でも、アニエスが呼べば普通に生えてくる。
本気を出せば患部を壊死させるが「アニエスが気に病むといけない」と言って、一ヶ月ノンストップの激痛だけにしてあげた。
「邪魔者は、消えますから」「竜紋の真実」
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ドクベニタケ(毒紅茸)
鮮やかな赤い傘を持ち、輪を描くように並んで発生して菌輪を形成する、メルヘンなキノコ。
胃腸系の中毒症状を起こす毒キノコで、匂いはないが味は辛い。
……キノコの勇者は何でもかんでも食べ過ぎだと思う。
アニエスが血を連想したので赤いキノコとして生えてきたが、視線を逸らされて切ない。
「名前に毒が入っているからイメージが悪い」と訴えるが、実際に毒なので仕方ないと説得された。
「昔の話」
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ナメコ(滑子)
赤褐色の傘とヌメリを持った、群生が得意なキノコ。
価格も手頃で、ご家庭でも愛される有名キノコ。
アニエスの危機に男達をどうにかしようと群生し、キノコ人生……菌生最大級のヌメリを出して、靴を再起不能にしている。
靴は菌床としての第二の人生を送り、来年には美味しいナメコが生えてくるだろう。
……でも、食べたくない。
「木材腐朽菌倶楽部」の一員で、男の靴に完全勝利した次は、木箱と林檎に挑んだ。
「ヌメリはさあ、心意気だよね」と言って、ヌメリ系キノコ達の羨望の眼差しを浴びている。
「可愛いという、心のない言葉」「たぶん、キノコ狩りです」「素が出ました」
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ナラタケ(楢茸)
淡褐色の傘を持ち、束生と群生が得意な食用キノコ。
『木材腐朽菌倶楽部』の代表で、生立木の根に寄生して枯死させるほどの実力者。
アニエスを暴漢から助けてくれたお礼を言おうと生えてきたのだが、タイミングを間違えたうっかりキノコ。
アニエスの足を止めるために精霊にSOSを出したが、間に合わないようなら群生からの腐敗でどうにか足止めしようと思っていた。
「愚かな想いが育つ前に」「運命の赤い菌糸、ですか」
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ニオイコベニタケ(匂小紅茸)
紅色の傘を持ち、乾燥していると粉状の質感で、湿気があるとヌメリ出すキノコ。
毒の有無は不明だが、肉がもろく、一般的には食べない。
カブトムシの様な独特の臭いがするらしいが、それを食べる勇気はない。
オトメノカサに「差し色が欲しい」という理由で連れ出された、巻き込まれ型キノコ。
カブトムシの匂いにコンプレックスがあり、「せめてクワガタの匂いだったら」が口癖。
「コミュニケーションの方向性がアレです」
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ニシキタケ(錦茸)
朱色の傘を持つキノコで、味は特にないが良い風味がある。
しかし虫がつきやすいので、なかなか食用にはなりづらいという、悲しいキノコ。
虫がつく前に食べて欲しいという気持ちのせいで、ちょっとせっかち。
「もういいから、さっさと出発しようよ」と言いたくて、生えたことがある。
何故虫がつくのかと悩んでいたが、「虫が食べるってことは、美味しい証だから」というアカヤマドリの言葉に癒されている。
「安全が第一です」
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ネツサガール(そんなものはない)
解熱作用を持つチョレイマイタケの変異種の、紫色のキノコ。
チョレイマイタケは菌核が薬になるが、こちらはキノコ全体が薬になる。
花弁のようにひらひらとした形の集合体で、ちょっと可愛い。
時間と共に萎れていき、それと共に薬効も下がるという、レアな上に繊細なキノコ。
流行病に解熱と聞いて、アニエスのために一肌脱ごうと生えてきた。
子供に流行中の病の特効薬で、「なんだか最近、私の時代が来ている気がする」とようやく気付いた。
高値で取引された末に、ついに公爵邸にまで行き着き、大出世を遂げたキノコ。
「有名になってからが大切。調子に乗ってはいけない」というチョレイマイタケの言葉を胸に刻んで今日も誰かの熱を下げている。
「どれだけキノコが欲しいのですか」「無関係です」「男心とキノコ心」「竜の血とキノコの変態」「最終日なのに、過酷です」
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ノボリリュウタケ(登竜茸)
灰白色で、木串の束の様な柄に、馬の鞍の様なでこぼこしたものが乗っている。
山で見かけたら何だかわからず、「ん?」と首を傾げてしまいそう。
食用ではあるが、十分に加熱しないと中毒症状があるらしい。
だがそれ以前に、食べて良いのか悩む形。
見た目に反して大人しいので、オオワライタケに囲まれてた時には少し気まずい思いをした。
クロードが「竜の血を引く」と聞いて、同じ「竜」の名を持つ者として、親近感が湧いている。
「史上最低のプロポーズ」「麗しのキノコの変態王子」
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ハタケシメジ(畑占地)
淡灰色~褐色の傘を持つ食用キノコ。
見た目は傘に模様のない、やる気のない椎茸。
歯ごたえシャキシャキ&深い風味で食用としていい感じらしい。食べたい。
家族以外では信頼する部類に入る店長によく生えるので、店長とは顔見知り……のつもり。
「桃花色のキノコ姫」
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ハナオチバタケ(花落葉茸)
淡い紅色の傘は1~2cm程度で、柄は非常に細く針金のよう。
こういう形のキノコのランプを売っているのを見たことがある。
毒があるかハッキリせず、食べ方も特にないらしい。
……食べ応えがなさそうなキノコに、世間が冷たいと思う。
オトメノカーサに「ほぼピンク色」という理由で引っ張り出されたことがあり、迷惑そうにしてみたものの、実は満更でもない。
「結局はキノコですか」「ご安心ください」
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ハナガサタケ(花笠茸)
黄色~オレンジ色の傘で、ザ・キノコな形。
湿気が多い時は表面にヌメリが出るらしい。
若い時はササクレ状の鱗片に覆われているが、すべてササクレだとするとかなり痛そう。
食用説と有毒説があるらしいが、そんなことを言われたら食べづらい。
「ササクレをなくすのが、大人になるってことさ」と若いハナガサタケに語っているが、実はササクレに少し未練がある。
「キノコ事情を説明します」
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ハナビラニカワタケ(花弁膠茸)
淡い赤褐色の八重咲の花弁の様な見た目の、食用キノコ。
薄切りした甘酢生姜にしか見えないが、どちらかというとキクラゲの親戚でコリコリした食感。
毎度乙女な気配を提供するクロードに、オトメノカサから贈られた花束……のようなキノコ。
黒い手袋に自分の淡い赤褐色が映えることに気付き、またクロードの手袋に生えたいなと思っている。
「男心とキノコ心」
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ヒイロタケ(緋色茸)
半円球で扁平な、緋色のキノコ。
全身錆びついたサルノコシカケという感じ。
アニエスの錆びついた乙女心を表すため、オトメノカサに誘われて生えてきた。
放って置くとどこまでも勝手に盛り上がるオトメノカサに、ブレーキをかける役割だが、ほぼ機能していない。
「木材腐朽菌倶楽部」の一員で、立木すら枯死させるナラタケに憧れている。
「もはや、ただのキノコです」「安全が第一です」「素が出ました」「噂なんて、そんなものです」「キノコ姫とキノコの変態王子」
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ヒカゲシビレタケ(日陰痺茸)
褐色の傘を持つ、シメジに似た小さなキノコ。
俗に言うマジックマッシュルームに属する毒キノコで、麻痺、錯乱、嘔吐などの中毒症状が出る。
「キノコの幻」という言葉に、幻覚ならば自分の出番だと喜び勇んで生えてみたものの、早とちりだった。
「『日陰』シビレタケなんだから、『日向』なら痺れない気がする」と思って食べられてみたが、日向でも痺れられたという悲しい過去がある。
「それはキノコの幻です」
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ヒトクチタケ(一口茸)
樹木の側面に沿ったハマグリ型で、下部はクリーム色、上部は褐色で光沢があるキノコ。
木にめり込んだ栗饅頭という感じ。
美味しそうな名前に、美味しそうな見た目だが、美味しくないらしい。
ベニテングタケとオトメノカサが出番で揉めていたので、どさくさに紛れて出て来た、ちゃっかりキノコ。
自分では光沢のある部分が気に入っていて、アニエスに磨いてほしいと思っている。
「どれだけキノコが欲しいのですか」
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ヒナノヒガサ(雛日傘)
淡い橙色がかった黄色の傘を持つ、直系1cmほどの小さなキノコ。
恐らく毒はないのではないかと言われているが、確信は持てないらしい。
小さすぎて食べ応えがないせいか、食べてすらもらえないキノコの悲しさ。
ハナオチバタケと一緒に、命を懸けて挑む人を心待ちにしている。
愛読書は「キノコの勇者と七本のキノコ」。
「キノコの騎士とキノコの王子」
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ブリーディング・トゥース(流血する歯)
白い塊から血が滴っているように見え、まるでお菓子の「ぷっ〇ょ」のグミ部分がジャムになって溢れてきた感じ。
食用には適さないが味は苦い……キノコの勇者がまた食べたらしい。
アニエスをいじめた報復として袖をぐっしょりと赤く染めたが、この液体には抗菌性があるので、見た目の割には優しい報復である。
「赤いと衝撃的だから、たまには青とか黄色の液体を出したい」と言って、周囲を困らせている。
「邪魔者は、消えますから」
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ベニテングタケ(紅天狗茸)
赤い傘に白いイボが水玉模様のように見える、絵に描いたようなザ・毒キノコという見た目。
結構な毒で、蠅の捕殺に使われたらしいが、どう使うのだろう。
スー〇ーマ〇オなら1upしそうだが、実際は食べたらやばそう。
運命の赤い菌糸を感じ取っては生えてくるキノコで、クロードのひとめぼれの相手でもある。
オトメノカサと出番を巡って対立したこともあったが、「菌類、皆兄弟」を合言葉に和解した。
クロードの「キノコ一筋」という言葉に感銘を受け、キノコ代表としてお礼を言いに生えたこともある。
二人の思い出のキノコのブローチに似せて、桃花色の傘で生えてみた。
アニエスが大好きなので、笑っている姿を見ているだけで幸せ。
「赤いキノコが生えました」「話しかけないでください」「キノコの騎士とキノコの王子」「はやまったかもしれません」「キノコとの出会いを喜んでいるようです」「竜の血とキノコの変態」「キノコ姫とキノコの変態王子」
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マツオウジ(松旺子)
黄褐色の傘に鱗片を持つ食用キノコ。
体質によって中毒症状が出るので、生で食べるのは厳禁……何故生で食べたのか、キノコの勇者を問い正したい。
「木材腐朽菌倶楽部」の一員。
カエンタケ指揮の元、木箱と林檎からクロードを救うべく増殖したが、「食べてもいいけど、生は駄目だよ」と周囲に注意を促している。
「素が出ました」
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マツタケ(松茸)
言わずと知れた高級キノコ。
松が生えていると何となく根元を見てしまうのは、このキノコのせい。
マツタケ本体よりも「松茸のお吸いもの」の方に親しみがあるのは私だけだろうか。
ブノワに生えると歓迎されるので、本人……本茸も満更でもない。
「先立つ物が必要です」
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ミミブサタケ(耳総茸)
赤褐色で、ウサギの耳のような形をしている珍しいキノコ。
食用に向かないとされているらしいが、美味しくないということだろうか。
「クロードの話を聞いて」とアニエスに訴えるために生えてきた、お節介キノコ。
沢山生えて、むしり取られた後、ベンチでキノコの山になりながらアニエスを見守った。
昔、本物のウサギに仲間の耳だと勘違いされて、連れ去られた経験がある。
「運命の赤い菌糸、ですか」「竜紋の真実」
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ムラサキナギナタタケ(紫薙刀茸)
薄紫色の細い棒状のキノコ。
無味無臭で美味しくないので、ほとんど食用にされることはない。
「ドレスと同じ色のキノコ」という天の声に導かれ、ニョキニョキと生えてきた。
自分の方が綺麗な紫色だと主張したが全然伝わらず悲しい思いをしていたところを、棒状キノコの先輩であるキソウメンタケに慰められた。
「ひとめぼれで首ったけ」
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ヤマブシタケ(山伏茸)
軟らかい白い房状の無数のとげを丸い形に垂らしたキノコ。
ふわふわモコモコの毛玉に見えなくもない。
若いうちは真っ白で、段々褐色を帯びるらしいので、色の変化も楽しそう。
食用で、健康食品でもある。
基本的にフサフサなので装飾品としての活躍が目立ち、エポレットになったり、帽子の飾りになったりと忙しい。
アニエスのためならば地味にフサフサを伸ばし続ける、努力家でもある。
「キノコの感度が上がっています」「キノコ事情を説明します」「可愛いという、心のない言葉」「たぶん、キノコ狩りです」
楽しんでいただければ幸いです。
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名前(漢字)
キノコ情報。
「登場したお話のタイトル」
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**【 キノコの名前 五十音順 一覧 】**
アカモミタケ(赤樅茸)
アカヤマタケ(赤山茸)
アカヤマドリ(赤山鳥)
アンズタケ(杏茸)
イヌセンボンタケ(犬千本茸)
ウスタケ(臼茸)
ウラベニホテイシメジ(裏紅布袋占地)
オオクロニガイグチ(大黒苦猪口)
オオホウライタケ(大蓬莱茸)
オオワライタケ(大笑茸)
オシロイシメジ(白粉占地)
オトメノカサ(乙女傘)
カエンタケ(火炎茸)
キクラゲ(木耳)
キソウメンタケ(黄素麺茸)
キツネノエフデ(狐の絵筆)
キララタケ(雲母茸)
クチベニタケ(口紅茸)
クロラッパタケ(黒喇叭茸)
コウボウフデ(弘法筆)
コンイロイッポンシメジ(紺色一本占地)
ササクレシロオニタケ(細裂白鬼茸)
ササタケ(笹茸)
サンゴハリタケ(珊瑚針茸)
シイタケ(椎茸)
スギタケ(杉茸)
ススケヤマドリタケ(煤山鳥茸)
セイヨウショウロ(西洋松露)
ソライロタケ(空色茸)
タマゴタケ(卵茸)
タモギタケ(楡茸)
タコスッポンタケ(悪魔の指)
チョレイマイタケ(猪苓舞茸)
ツキヨタケ(月夜茸)
ツチグリ(土栗)
ツチスギタケ(土杉茸)
ドクササコ (毒笹子)
ドクベニタケ(毒紅茸)
ナメコ(滑子)
ナラタケ(楢茸)
ニオイコベニタケ(匂小紅茸)
ニシキタケ(錦茸)
ネツサガール(そんなものはない)
ノボリリュウタケ(登竜茸)
ハタケシメジ(畑占地)
ハナオチバタケ(花落葉茸)
ハナガサタケ(花笠茸)
ハナビラニカワタケ(花弁膠茸)
ヒイロタケ(緋色茸)
ヒカゲシビレタケ(日陰痺茸)
ヒトクチタケ(一口茸)
ヒナノヒガサ(雛日傘)
ブリーディング・トゥース(流血する歯)
ベニテングタケ(紅天狗茸)
マツオウジ(松旺子)
マツタケ(松茸)
ミミブサタケ(耳総茸)
ムラサキナギナタタケ(紫薙刀茸)
ヤマブシタケ(山伏茸)
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===【 キノコ紹介 】===
アカモミタケ(赤樅茸)
淡橙黄色の傘を持ち、見た目は椎茸と平茸の間で「ああ、食べられそう」という感じ。
うま味があるけれど、ぼそぼそしているらしい。汁に入れたい。
傷がつくと橙朱色の乳液が出るらしいので、見てみたい。
「それは乳液じゃない。心の汗だ」と主張しているが、濁った汗はどうかと思う。
「ハンカチはお返しします」
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アカヤマタケ(赤山茸)
赤、橙、黄色などの、1.5~5cmほどの大きさの円錐形の傘を持つ。
ぱっと見、お菓子のキ〇コの山。
だが、体質次第で中毒症状が出るので、一応毒キノコ。
「たとえ命の危険があろうともそこにキノコがある限り、食す」というキノコの勇者の訪れを、心待ちにしている。
「胞子と菌糸の奪い合い」
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アカヤマドリ(赤山鳥)
黄褐色~橙褐色の傘は、直系30cmになることもある、大きなキノコ。
成長すると傘にひび割れができ、焼き立てのパンのようにも見える。
巨大ブールか巨大メロンパンという感じ。
毒はないが、虫がつきやすいらしい。
「虫が食べるってことは、美味しい証だから」と言ってはいるが、本当は虫がつくのを嫌がっている。
「胞子と菌糸の奪い合い」
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アンズタケ(杏茸)
橙がかった鮮やかな黄色の傘を持つキノコ。
ヨーロッパでは食用だが、国内では毒キノコ……どういうことだろう。
肉の部分は強い杏の様な香りがする。
クロード愛用の香水の材料で、まさかの香水加工に本人(本茸)が一番衝撃を受けている。
アニエスのことを慰めてくれたお礼に、香水にされる覚悟で生えた際には、クロードに口づけられた。
「王子様のキス」をアニエスよりも先に受けたことについて、オトメノカサに呼び出されて説教された。
「もはや、ただのキノコです」「噂なんて、そんなものです」
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イヌセンボンタケ(犬千本茸)
白色~薄い灰色で傘の直系は1cmくらいで、群生する。
見た目はホワイトチョコのアポ〇そのものなので、ちょっと可愛い。
毒でもないが食用でもないらしい。……美味しくないのかな。
特技の「群生」を買われ、乙女な気配を盛り上げるべくオトメノカサに引っ張り出されることがある。
群生はそういう使い方をするものではないと訴えているが、聞いてもらえない。
「でも、ドレスがありません」「コミュニケーションの方向性がアレです」
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ウスタケ(臼茸)
赤いラッパ型の傘を持つ毒キノコ。
消化器系の中毒を起こすが、特徴的な味はない……また、誰か食べたらしい。
アニエスを慰めるため一曲演奏しようとしたが、ラッパ型でもキノコなので音は出ないことに気付いた。
だが、諦めなければいつか音が出るのではないかと、特訓中。
「安全が第一です」
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ウラベニホテイシメジ(裏紅布袋占地)
帯灰褐色の傘に太い柄を持った食用キノコ。
苦みがあるので、茹でこぼすか焼く処理が必要。
更に、毒キノコのクサウラベニタケやイッポンシメジと似ているので、十分な注意が必要。
アニエスも好きだがケヴィンのことも気に入っていて、色々注意を促すために生えた世話焼きシメジ。
「精霊の加護」
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オオクロニガイグチ(大黒苦猪口)
黒褐色のビロード状の傘を持ち、肉は傷つけると紅変し黒変するという変身キノコ。
ニガイグチの仲間にしては苦くないらしい……キノコの勇者が「利きニガイグチ」をしているようだ。
クロードへの「助けに来てくれてありがとう」と、「うちのアニエスが迷惑をかけてごめん。でも、もう少し早く来て」という要望の間を取って、「苦いけれど食べられる」キノコが献上された。
アニエスを助けてくれたお礼にクロードの手袋の穴を塞ぐ、義理堅さを持つ。
苦いのか苦くないのかハッキリしてほしいのが、最近の悩み。
「たぶん、キノコ狩りです」「竜の血とキノコの変態」
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オオホウライタケ(大蓬莱茸)
細い柄に黄土色の傘で、成長すると縁が反り返って雨傘っぽい。
食用に適さないらしいが、傘が全開の榎茸に見えなくもないので、いけそうな気もする。
いつか大きくなったら、キノコの雨傘としてアニエスに使ってもらうのが夢。
「もう一度、会いたかった」
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オオワライタケ(大笑茸)
黄褐色のブナシメジという見た目。
名前から察することができるが、毒キノコ。
神経系の毒があり、異常な興奮、幻覚、意識障害などが起こるらしく、全然笑えない。
キノコ界のにぎやかし要員であり、特技の群生を活かしていろんな場所に生えまくる。
仲間が増えすぎると、合体してキング・オオワライタケになるという噂もある。
ノリが合うオトメノカサとは仲が良く、アニエスの結婚式には一緒に大増殖しようと目論んでいる。
「史上最低のプロポーズ」「麗しのキノコの変態王子」「はやまったかもしれません」「キノコとの出会いを喜んでいるようです」「キノコ姫とキノコの変態王子」
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オシロイシメジ(白粉占地)
白粉を塗った様な白い傘のキノコ。
消化器系の中毒を起こす毒キノコで、特徴的な味はない。
……どこかの勇者が食べてしまう程度には、美味しそうなルックスということか。
アニエスを囲む女性達の化粧に反応して生えてみたが、タイミングを間違えたことがある。
一度、本物の白粉にまみれてみたいという夢を持っている。
「もはや、ただのキノコです」
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オトメノカサ(乙女傘)
乳白色の傘を持つ、小さくて可愛らしいキノコ。
酢の物、和え物などにされるが、くせがなくて食べやすい。
乙女な気配を感じると逃すことなく生えてくる、恋バナ大好きな野次馬キノコ。
興奮と共に仲間のキノコを引き連れてくる様子から、オトメノカサに連れ出されることを「乙女ツアー」と呼ばれている。
だが添乗員であるはずのオトメノカサは「包み込まれた!」とか「キスぅ!」などと叫ぶのに忙しく、参加者を放置している。
乙女な気配と運命の赤い菌糸の気配は重複することも多く、一時ベニテングタケと出番争いを繰り広げていたが「菌類、皆兄弟」の合言葉で和解した。
「大切な人だから」「もはや、ただのキノコです」「安全が第一です」「習性って、恐ろしいです」「ご安心ください」「コミュニケーションの方向性がアレです」「キノコとの出会いを喜んでいるようです」「噂なんて、そんなものです」「キノコ姫とキノコの変態王子」
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カエンタケ(火炎茸)
燃え上がる炎や鹿の角の様な形の、赤いキノコ。
致死量は数グラムで、触れるだけでも毒素が吸収されるという、猛毒キノコ。
ササクレシロオニタケの緊急通報と、アニエスの恐怖に反応して生えてきた、毒キノコ界の重鎮。
アニエスのトラウマを引き出した男達には、「殺しはしない」と言って皮膚の炎症で許してあげた。
だが、フィリップは許せなかったらしく「毛根もげろ」というブノワの祈りに応じてフィリップの頭皮に降臨した。
触れるだけでも皮膚に炎症を起こすので、生えた部分の毛根はほぼ、もげることだろう。
自身の猛毒ぶりを理解して普段は自制しているが「アニエスを長年いじめやがって」という理由でためらいなく毛根の焼き討ちを決行した。
「素が出ました」「竜の血とキノコの変態」「邪魔者は、消えますから」
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キクラゲ(木耳)
黒褐色のひらひらした形の、食用キノコ。
そのまま食べても乾燥しても良し、食感の優秀さが自慢。
オオクロニガイグチに誘われ、クロードの手袋を華やかにしようと、精一杯ゼラチン質をプリプリさせている。
幼少時には「自分は海藻かもしれない」とキノコのアイデンティティの危機を経験している。
「竜の血とキノコの変態」
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キソウメンタケ(黄素麺茸)
地面からフライドポテトがニョキニョキという感じの、黄色い棒状のキノコ。
素麺の名を冠するだけあって食べられるが、食べ応えがないらしく食用としての価値は低い。
そして、食べるのには勇気が必要らしい。
自分は勇気の証なのだと、ちょっと誇らし気にニョキニョキしている。
ヒナノヒガサの悩み相談に乗る、情に厚い一面を持ち、早とちりしたヒカゲシビレタケを慰める優しさもある、兄貴分なキノコ。
「キノコ愛が露骨です」「キノコの騎士とキノコの王子」「それはキノコの幻です」「キノコの手紙が届きました」
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キツネノエフデ(狐の絵筆)
卵型の幼菌から濃い紅色の棒のような本体が伸びていて、先端の粘液が悪臭を放つキノコ。
毒はないのだが、悪臭のキノコをあえて食べる勇者はいないらしい。
「アニエスをいじめる女には、悪臭がお似合いだ」と言って、サビーナの頭上から悪臭を三割増しで放ち始めた。
ヌメリ系キノコの先輩格であるナメコの言葉に影響され、悪臭粘液をたっぷりとサビーナの頭に垂らした。
「最終日なのに、過酷です」
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キララタケ(雲母茸)
雲母のようにキラキラ光る細かい小鱗片を持った、淡い黄褐色の傘のキノコ。
お酒を飲む人が食べると酷い食中毒を起こすキノコで、クロードにセクハラ(肉色の暴露)されたスギタケに代わって「お酒に注意」と伝えに来た。
頑張って伝えているのにクロードがすぐにもぎ取るので、意地になって生え続けていたが、アニエスの意思によって強制終了になった。
「まだ決着はついていない」とクロードとのリベンジマッチに意欲を見せている。
「最終日なのに、過酷です」
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クチベニタケ(口紅茸)
傘部分が黄土色の球体で、その頂に赤橙色の星型の孔を持つキノコ。
たこ焼きのてっぺんに穴が開いていて、穴の端が紅ショウガで染まっている感じ。
名前通り、まるで口紅をつけた唇の様な見た目。
「唇! 唇!」と興奮したオトメノカサに有無を言わさず連れ出されたが、密かに普通の傘を持たないことに悩んでいたので、ちょっと自信がついた。
「習性って、恐ろしいです」
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クロラッパタケ(黒喇叭茸)
黒い漏斗型をしていて、ラッパの様な見た目のキノコ。
別名「死のトランペット」だが、ヨーロッパでは日常的に食べられていて、スープに入れると美味。
……ネーミングがおかしいと思う。
アニエスの意思を汲み、一曲演奏してクロードの気を逸らそうとしたが、キノコなので音が出なかった。
ウスタケと一緒にラッパ教室に通いたいと思う、今日この頃。
「コミュニケーションの方向性がアレです」
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コウボウフデ(弘法筆)
青灰色の棒の先端が潰れたような形の、非常に珍しいキノコ。
固い柄もしっかりしていて、名前の通り頭部の胞子で紙に文字を書く事ができる。
「キノコの変態に贈る餞別」というアニエスの思いに応えてやって来た、激レアキノコ。
クロードに早々にむしり取られ、ポケットの中で事の成り行きを見守っている、傍観者キノコ。
ようやくアニエスが笑ってくれたこの感動を、一筆したためたい気分。
だが、自力で逆さになって文字を書くのは困難なので、アニエスにお願いしたいと思っている。
「愚かな想いが育つ前に」「運命の赤い菌糸、ですか」「キノコ姫とキノコの変態王子」
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コンイロイッポンシメジ(紺色一本占地)
濃い青色の傘を持つキノコ。
毒はないらしいが、色が色なので食べてはもらえない。
黄色に変色するソライロタケよりも、自分がモデルに相応しいと主張していた。
クロードに「美しい」と褒められて満更でもない。
ソライロタケと話し合った結果、クロードの髪色はコンイロイッポンシメジの方が近いという結論になり、青色キノコの代表としてピンと傘を張って生えている。
「キノコの変態とキノコのブローチ」「ご安心ください」「キノコに呪われています」
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ササクレシロオニタケ(細裂白鬼茸)
大きなイボが特徴的な白いキノコで、柄の部分にささくれがある。
全身美白した、ベニテングタケという感じ。
一応毒とされているが可食ともされている……って、怖くて食べられない。
アニエスの身辺や心理状況に心を配る、監視キノコ。
アニエスの枷が外れ、長年フィリップを保護していたノー・キノコ枠が消滅した際には、全キノコに緊急通達する役目を果たした。
アニエスを泣かせたのでクロードも監視対象だったが、むしられ、くるくると回され、初めての目が回る感覚が気に入った様子。
「あいつは悪くない奴だ」とクロードの評価が上がったが、理由がおかしい。
「話しかけないでください」「可愛いという、心のない言葉」「たぶん、キノコ狩りです」「信じていたのに」「竜紋の真実」「キノコ姫とキノコの変態王子」
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ササタケ(笹茸)
オリーブ褐色の傘を持つキノコ。
見た目はココアパウダーまみれの椎茸のような感じで美味しそうだが、毒キノコ。
消化器系の中毒症状が出るらしい。
「皿の上なら、お菓子だと思ってもらえるかもしれない」と言って、自ら皿に生えて人間を待つチャレンジャー。
「麗しのキノコの変態王子」
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サンゴハリタケ(珊瑚針茸)
真っ白な珊瑚の様な見た目の食用キノコ。
取るのが難しく、ゴミがつきやすいらしい……トゲトゲに絡まるのだろうか。
「クロードの白いシャツに生えるのは誰だ」選手権を見事に勝ち上がった、勝者キノコ。
勝者の特権としてクロードのシャツに生えたが、シャツよりも自分の方が白いと密かに勝ち誇っている。
「キノコとの出会いを喜んでいるようです」
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シイタケ(椎茸)
茶褐色の傘を持つ、愛され食用キノコ。
煮て良し、焼いて良し、干しても良しの万能選手。
遠い親戚のツキヨタケが命がけの指令を受けたと聞いて、誤食を促すために共に食べられる覚悟を持っている。
……でも生えるタイミングを間違えたので、美味しく食べられそう。
「こう言っては何だが、キノコだっておじさんよりも麗しの王子に生えたい」とぶっちゃけた、カミングアウトキノコ。
カエンタケの招集に応じて、木箱を腐食させるべく増殖した「木材腐朽菌倶楽部」の一員。
「無関係です」「男心とキノコ心」「素が出ました」
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スギタケ(杉茸)
ささくれた鱗片を持つ、黄褐色の傘のキノコ。
体質によって中毒を起こすし、酒と一緒に食べると悪酔いする。
アニエスに「夜会ではお酒に気を付けろ」というメッセージを伝えるべく生えてきた、お節介キノコ。
だがクロードに身の内(肉の色)まで暴露されるというセクハラを受けて、ちょっと恥ずかしい思いをした。
「ひとめぼれで首ったけ」「キノコに呪われています」
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ススケヤマドリタケ(煤山鳥茸)
ビロードのような質感の暗褐色の傘を持つ食用キノコ。
傘の直径が15cmを超えるものもあるが、炒めてよし焼いてよしなので、寧ろありがたい。
興奮するアニエスをなだめるべく、命を賭す覚悟を決めている。(晩御飯のおかず)
厨房に運ばれる際にはアニエスに「また会えるさ(晩御飯のおかず)」と言ったが、伝わっていない。
厨房では「今日は焼かれる気分」と訴えたが、あえなく煮られた。
「はやまったかもしれません」「キノコの手紙が届きました」
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セイヨウショウロ(西洋松露)
大理石状の模様を持ち、小さな突起が無数に見られる塊状のキノコ。
いわゆるトリュフで、三大珍味にも数えられる高級食用キノコ。
アニエスの心が乱れたのを心配して「良かったら食べて。売ってもいいよ」と慰めるために生えてきた、心優しく懐にも優しいキノコ。
だが、クロードへの餞別にされてちょっと困惑気味。
白と黒で値段が違いすぎるのが、目下の悩み。
「竜の血と番」「愚かな想いが育つ前に」
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ソライロタケ(空色茸)
空色の小さな傘を持つキノコで、毒の有無は不明。
傷付いたり触れると黄色に変わる、繊細なキノコ。
クロードが青いキノコのブローチを買ったので、自分がモデルなのだと主張していた。
変色しないようにというクロードの気遣いに感激し、クロードを応援するようになった。
「キノコの変態とキノコのブローチ」「ご安心ください」
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タマゴタケ(卵茸)
卵型、饅頭型、平らな形に変化する、赤いキノコ。
似ている毒キノコも多く、安易に食べてはいけないが、食べたら美味しい。
親戚のベニテングタケが多忙だったため、「運命の赤い菌糸を感じたらしい」という理由で派遣されたことがある。
「湯上り卵肌」という言葉は自分のことだと思って茹でられてみたところ、美味しく食べられてしまった、うっかりキノコ。
「大切な人だから」
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タモギタケ(楡茸)
鮮やかな黄色の傘を持つ、食用キノコ。
特技は群生で、味も良く、いいお値段。
キノコ達の怒りの「フィリップ、ツキヨタケ誤食大作戦」に巻き込んでしまったクロードに対する、お詫びキノコ。
「タモギタケは美味しく食べていいから、フィリップの口にツキヨタケを突っ込め」という意味もあった。
「木材腐朽菌倶楽部」の一員で、全力で群生して木箱と林檎を腐敗させつつ、キノコの山に彩りを添えていた。
「無関係です」「素が出ました」
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タコスッポンタケ(悪魔の指)
卵の殻のような物を破って真っ赤な触手が伸び、黒い粘液のまだら模様に覆われているキノコ。
どう見ても地面から逆さに生えた蛸の足という見た目で、吸盤にも見える粘液が腐肉臭を放つ。
「嗅覚を刺激して鼻をもぐ」と宣言し、フィリップの背中で蛸の足を広げて虎視眈々と機会を窺っている。
アニエスと距離を取ってから、五割増しの腐肉臭を惜しげもなく振りまく予定。
その後、サビーナの頭上のキツネノエフデに出会い、意気投合して更なる悪臭を振りまいた。
「邪魔者は、消えますから」
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チョレイマイタケ(猪苓舞茸)
木の根に寄生するキノコの一種で、黄褐色の小さな傘の集合体の様な見た目。
菌核はかの有名な猪苓湯になったりする、有名キノコ。
今回はモデルのモデルなので、出番なし。
一度もアニエスに会えなかったのが寂しくて、ネツサガールを捕まえてはアニエスの様子を聞いている。
「どれだけキノコが欲しいのですか」「無関係です」
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ツキヨタケ(月夜茸)
暗褐色の傘を持ち、闇の中ではうっすら緑色に光るキノコ。
胃腸系中毒症状が激しい猛毒キノコで、死亡例もある。
アニエスに対するフィリップの態度に怒ったキノコ達から、「シイタケとの誤食を狙う」という命がけの指令を受けて生えてきた。
シイタケとは仲が良く、今度いつシイタケとの誤食を狙う事態になってもいいように日夜シイタケっぽい傘を研究している。
「無関係です」
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ツチグリ(土栗)
ヒトデのような外皮の真ん中に球体があり、皮を剥いたオレンジのような見た目。
本来褐色だがフィリップに対する怒りからオレンジ色に変化した結果、本当に皮を剥いたオレンジのようになった。
「愛情の色じゃない! 怒りの色だ!」と更に怒っている。
アニエスによるノー・キノコ枠という保護が外れたフィリップに、一言文句を言ってやろうと胞子をぶちまけた。
「ドクササコの様に、口の中に攻撃すれば良かった」とまだまだ文句を言い足りない様子。
「邪魔者は、消えますから」
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ツチスギタケ(土杉茸)
淡い褐色に濃い褐色の鱗片があり、見た目にはこんがり焼き目のついた色白の椎茸。
肉は食感に優れているが、嘔吐や吐き気などの消化器系の中毒症状が起こるらしい。
……最初に食べた人が『食感、最高!』と言って吐いたのか、吐くと分かった上で食べて『食感、最高!』と言ったのか、気になる。
モーリスのハンカチの中でハナオチバタケに先輩風を吹かせていたが、実は食べては吐かれることを気にしている繊細なキノコ。
「正気に戻るまでは」「結局はキノコですか」
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ドクササコ (毒笹子)
黄土褐色の中央がへこんだ傘を持つ猛毒キノコで、攻撃の陰湿さに定評がある。
体内潜入後、潜伏4~5日後から手足の先と陰茎のみを執拗に攻撃し、激痛を1か月以上継続させる。
何故、そこを狙うのかは謎。
「アニエスを長年抑圧した罪は、陰茎激痛罪に値する!」と訴えてカエンタケの許可を取り、口の中に特攻を仕掛けて殉死した、勇猛果敢なキノコ。
でも、アニエスが呼べば普通に生えてくる。
本気を出せば患部を壊死させるが「アニエスが気に病むといけない」と言って、一ヶ月ノンストップの激痛だけにしてあげた。
「邪魔者は、消えますから」「竜紋の真実」
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ドクベニタケ(毒紅茸)
鮮やかな赤い傘を持ち、輪を描くように並んで発生して菌輪を形成する、メルヘンなキノコ。
胃腸系の中毒症状を起こす毒キノコで、匂いはないが味は辛い。
……キノコの勇者は何でもかんでも食べ過ぎだと思う。
アニエスが血を連想したので赤いキノコとして生えてきたが、視線を逸らされて切ない。
「名前に毒が入っているからイメージが悪い」と訴えるが、実際に毒なので仕方ないと説得された。
「昔の話」
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ナメコ(滑子)
赤褐色の傘とヌメリを持った、群生が得意なキノコ。
価格も手頃で、ご家庭でも愛される有名キノコ。
アニエスの危機に男達をどうにかしようと群生し、キノコ人生……菌生最大級のヌメリを出して、靴を再起不能にしている。
靴は菌床としての第二の人生を送り、来年には美味しいナメコが生えてくるだろう。
……でも、食べたくない。
「木材腐朽菌倶楽部」の一員で、男の靴に完全勝利した次は、木箱と林檎に挑んだ。
「ヌメリはさあ、心意気だよね」と言って、ヌメリ系キノコ達の羨望の眼差しを浴びている。
「可愛いという、心のない言葉」「たぶん、キノコ狩りです」「素が出ました」
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ナラタケ(楢茸)
淡褐色の傘を持ち、束生と群生が得意な食用キノコ。
『木材腐朽菌倶楽部』の代表で、生立木の根に寄生して枯死させるほどの実力者。
アニエスを暴漢から助けてくれたお礼を言おうと生えてきたのだが、タイミングを間違えたうっかりキノコ。
アニエスの足を止めるために精霊にSOSを出したが、間に合わないようなら群生からの腐敗でどうにか足止めしようと思っていた。
「愚かな想いが育つ前に」「運命の赤い菌糸、ですか」
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ニオイコベニタケ(匂小紅茸)
紅色の傘を持ち、乾燥していると粉状の質感で、湿気があるとヌメリ出すキノコ。
毒の有無は不明だが、肉がもろく、一般的には食べない。
カブトムシの様な独特の臭いがするらしいが、それを食べる勇気はない。
オトメノカサに「差し色が欲しい」という理由で連れ出された、巻き込まれ型キノコ。
カブトムシの匂いにコンプレックスがあり、「せめてクワガタの匂いだったら」が口癖。
「コミュニケーションの方向性がアレです」
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ニシキタケ(錦茸)
朱色の傘を持つキノコで、味は特にないが良い風味がある。
しかし虫がつきやすいので、なかなか食用にはなりづらいという、悲しいキノコ。
虫がつく前に食べて欲しいという気持ちのせいで、ちょっとせっかち。
「もういいから、さっさと出発しようよ」と言いたくて、生えたことがある。
何故虫がつくのかと悩んでいたが、「虫が食べるってことは、美味しい証だから」というアカヤマドリの言葉に癒されている。
「安全が第一です」
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ネツサガール(そんなものはない)
解熱作用を持つチョレイマイタケの変異種の、紫色のキノコ。
チョレイマイタケは菌核が薬になるが、こちらはキノコ全体が薬になる。
花弁のようにひらひらとした形の集合体で、ちょっと可愛い。
時間と共に萎れていき、それと共に薬効も下がるという、レアな上に繊細なキノコ。
流行病に解熱と聞いて、アニエスのために一肌脱ごうと生えてきた。
子供に流行中の病の特効薬で、「なんだか最近、私の時代が来ている気がする」とようやく気付いた。
高値で取引された末に、ついに公爵邸にまで行き着き、大出世を遂げたキノコ。
「有名になってからが大切。調子に乗ってはいけない」というチョレイマイタケの言葉を胸に刻んで今日も誰かの熱を下げている。
「どれだけキノコが欲しいのですか」「無関係です」「男心とキノコ心」「竜の血とキノコの変態」「最終日なのに、過酷です」
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ノボリリュウタケ(登竜茸)
灰白色で、木串の束の様な柄に、馬の鞍の様なでこぼこしたものが乗っている。
山で見かけたら何だかわからず、「ん?」と首を傾げてしまいそう。
食用ではあるが、十分に加熱しないと中毒症状があるらしい。
だがそれ以前に、食べて良いのか悩む形。
見た目に反して大人しいので、オオワライタケに囲まれてた時には少し気まずい思いをした。
クロードが「竜の血を引く」と聞いて、同じ「竜」の名を持つ者として、親近感が湧いている。
「史上最低のプロポーズ」「麗しのキノコの変態王子」
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ハタケシメジ(畑占地)
淡灰色~褐色の傘を持つ食用キノコ。
見た目は傘に模様のない、やる気のない椎茸。
歯ごたえシャキシャキ&深い風味で食用としていい感じらしい。食べたい。
家族以外では信頼する部類に入る店長によく生えるので、店長とは顔見知り……のつもり。
「桃花色のキノコ姫」
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ハナオチバタケ(花落葉茸)
淡い紅色の傘は1~2cm程度で、柄は非常に細く針金のよう。
こういう形のキノコのランプを売っているのを見たことがある。
毒があるかハッキリせず、食べ方も特にないらしい。
……食べ応えがなさそうなキノコに、世間が冷たいと思う。
オトメノカーサに「ほぼピンク色」という理由で引っ張り出されたことがあり、迷惑そうにしてみたものの、実は満更でもない。
「結局はキノコですか」「ご安心ください」
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ハナガサタケ(花笠茸)
黄色~オレンジ色の傘で、ザ・キノコな形。
湿気が多い時は表面にヌメリが出るらしい。
若い時はササクレ状の鱗片に覆われているが、すべてササクレだとするとかなり痛そう。
食用説と有毒説があるらしいが、そんなことを言われたら食べづらい。
「ササクレをなくすのが、大人になるってことさ」と若いハナガサタケに語っているが、実はササクレに少し未練がある。
「キノコ事情を説明します」
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ハナビラニカワタケ(花弁膠茸)
淡い赤褐色の八重咲の花弁の様な見た目の、食用キノコ。
薄切りした甘酢生姜にしか見えないが、どちらかというとキクラゲの親戚でコリコリした食感。
毎度乙女な気配を提供するクロードに、オトメノカサから贈られた花束……のようなキノコ。
黒い手袋に自分の淡い赤褐色が映えることに気付き、またクロードの手袋に生えたいなと思っている。
「男心とキノコ心」
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ヒイロタケ(緋色茸)
半円球で扁平な、緋色のキノコ。
全身錆びついたサルノコシカケという感じ。
アニエスの錆びついた乙女心を表すため、オトメノカサに誘われて生えてきた。
放って置くとどこまでも勝手に盛り上がるオトメノカサに、ブレーキをかける役割だが、ほぼ機能していない。
「木材腐朽菌倶楽部」の一員で、立木すら枯死させるナラタケに憧れている。
「もはや、ただのキノコです」「安全が第一です」「素が出ました」「噂なんて、そんなものです」「キノコ姫とキノコの変態王子」
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ヒカゲシビレタケ(日陰痺茸)
褐色の傘を持つ、シメジに似た小さなキノコ。
俗に言うマジックマッシュルームに属する毒キノコで、麻痺、錯乱、嘔吐などの中毒症状が出る。
「キノコの幻」という言葉に、幻覚ならば自分の出番だと喜び勇んで生えてみたものの、早とちりだった。
「『日陰』シビレタケなんだから、『日向』なら痺れない気がする」と思って食べられてみたが、日向でも痺れられたという悲しい過去がある。
「それはキノコの幻です」
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ヒトクチタケ(一口茸)
樹木の側面に沿ったハマグリ型で、下部はクリーム色、上部は褐色で光沢があるキノコ。
木にめり込んだ栗饅頭という感じ。
美味しそうな名前に、美味しそうな見た目だが、美味しくないらしい。
ベニテングタケとオトメノカサが出番で揉めていたので、どさくさに紛れて出て来た、ちゃっかりキノコ。
自分では光沢のある部分が気に入っていて、アニエスに磨いてほしいと思っている。
「どれだけキノコが欲しいのですか」
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ヒナノヒガサ(雛日傘)
淡い橙色がかった黄色の傘を持つ、直系1cmほどの小さなキノコ。
恐らく毒はないのではないかと言われているが、確信は持てないらしい。
小さすぎて食べ応えがないせいか、食べてすらもらえないキノコの悲しさ。
ハナオチバタケと一緒に、命を懸けて挑む人を心待ちにしている。
愛読書は「キノコの勇者と七本のキノコ」。
「キノコの騎士とキノコの王子」
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ブリーディング・トゥース(流血する歯)
白い塊から血が滴っているように見え、まるでお菓子の「ぷっ〇ょ」のグミ部分がジャムになって溢れてきた感じ。
食用には適さないが味は苦い……キノコの勇者がまた食べたらしい。
アニエスをいじめた報復として袖をぐっしょりと赤く染めたが、この液体には抗菌性があるので、見た目の割には優しい報復である。
「赤いと衝撃的だから、たまには青とか黄色の液体を出したい」と言って、周囲を困らせている。
「邪魔者は、消えますから」
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ベニテングタケ(紅天狗茸)
赤い傘に白いイボが水玉模様のように見える、絵に描いたようなザ・毒キノコという見た目。
結構な毒で、蠅の捕殺に使われたらしいが、どう使うのだろう。
スー〇ーマ〇オなら1upしそうだが、実際は食べたらやばそう。
運命の赤い菌糸を感じ取っては生えてくるキノコで、クロードのひとめぼれの相手でもある。
オトメノカサと出番を巡って対立したこともあったが、「菌類、皆兄弟」を合言葉に和解した。
クロードの「キノコ一筋」という言葉に感銘を受け、キノコ代表としてお礼を言いに生えたこともある。
二人の思い出のキノコのブローチに似せて、桃花色の傘で生えてみた。
アニエスが大好きなので、笑っている姿を見ているだけで幸せ。
「赤いキノコが生えました」「話しかけないでください」「キノコの騎士とキノコの王子」「はやまったかもしれません」「キノコとの出会いを喜んでいるようです」「竜の血とキノコの変態」「キノコ姫とキノコの変態王子」
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マツオウジ(松旺子)
黄褐色の傘に鱗片を持つ食用キノコ。
体質によって中毒症状が出るので、生で食べるのは厳禁……何故生で食べたのか、キノコの勇者を問い正したい。
「木材腐朽菌倶楽部」の一員。
カエンタケ指揮の元、木箱と林檎からクロードを救うべく増殖したが、「食べてもいいけど、生は駄目だよ」と周囲に注意を促している。
「素が出ました」
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マツタケ(松茸)
言わずと知れた高級キノコ。
松が生えていると何となく根元を見てしまうのは、このキノコのせい。
マツタケ本体よりも「松茸のお吸いもの」の方に親しみがあるのは私だけだろうか。
ブノワに生えると歓迎されるので、本人……本茸も満更でもない。
「先立つ物が必要です」
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ミミブサタケ(耳総茸)
赤褐色で、ウサギの耳のような形をしている珍しいキノコ。
食用に向かないとされているらしいが、美味しくないということだろうか。
「クロードの話を聞いて」とアニエスに訴えるために生えてきた、お節介キノコ。
沢山生えて、むしり取られた後、ベンチでキノコの山になりながらアニエスを見守った。
昔、本物のウサギに仲間の耳だと勘違いされて、連れ去られた経験がある。
「運命の赤い菌糸、ですか」「竜紋の真実」
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ムラサキナギナタタケ(紫薙刀茸)
薄紫色の細い棒状のキノコ。
無味無臭で美味しくないので、ほとんど食用にされることはない。
「ドレスと同じ色のキノコ」という天の声に導かれ、ニョキニョキと生えてきた。
自分の方が綺麗な紫色だと主張したが全然伝わらず悲しい思いをしていたところを、棒状キノコの先輩であるキソウメンタケに慰められた。
「ひとめぼれで首ったけ」
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ヤマブシタケ(山伏茸)
軟らかい白い房状の無数のとげを丸い形に垂らしたキノコ。
ふわふわモコモコの毛玉に見えなくもない。
若いうちは真っ白で、段々褐色を帯びるらしいので、色の変化も楽しそう。
食用で、健康食品でもある。
基本的にフサフサなので装飾品としての活躍が目立ち、エポレットになったり、帽子の飾りになったりと忙しい。
アニエスのためならば地味にフサフサを伸ばし続ける、努力家でもある。
「キノコの感度が上がっています」「キノコ事情を説明します」「可愛いという、心のない言葉」「たぶん、キノコ狩りです」