スキキライ*シンドローム
「最低ね……!」
「どうとでも言え。俺には、俺のやりたいことがある。それを実行にうつすために、手段は選ばない」
隣で黙っていたセラちゃんの表情は見えないけれど拳は握りこまれ、少しだけ血が滲み出ていたから、相当怒っているだろう。
「それと、夏目 星羅だな? お前にも協力してもらうぞ?」
「は!? 何で私だけじゃなくて、セラちゃんもなんですか!?」
「少し黙ってろ。俺は夏目 星羅に聞いている」
先輩は私を一瞥し、セラちゃんに向き直る。
「先程の反応を見て、確信した。……お前にとっても、悪い話では無いはずだが?」
「……分かった。協力する」
「セラちゃん!?」
不服そうではあるけど、先輩を見つめる視線は本気で、同時に敵対心を含んでいた。
……こんなセラちゃんの顔、見たことがない。
初めて、セラちゃんを『怖い』と思った。
「お前の騎士もこう言っているんだ。諦めて、俺に協力しろ」
唇を噛みしめて、こう言うしかなかった。
「……分かった。協力する」