スキキライ*シンドローム
私の後悔と言う名前のトラウマは、『あの日両親に謝れなかったこと』だった。
どうしたって言葉で、口で、声で直接伝えることは出来ない。
どうやったって、私の声は二人の鼓膜を振動させることは出来ない。
あの日から、私の人生は確かに大きく変わった。
『可哀想な子』
『お前、母ちゃんと父ちゃんに捨てられたの? 』
悪気の無い言葉や、心無い言葉が小さな心を傷つけることすらあった。
そんな時、いつも声を荒らげてくれたのが引き取ってくれたユミさんと、セラちゃんだった。
二人には、本当に感謝してもしきれないくらいの、恩がある。
せめて、この二人だけは家族として幸せになって欲しい。
そんな想いから、お節介になってしまっていた。
やめておいた方がいい、と分かっていても。
空気が悪くなる、と分かっていても。
この二人が、家族として幸せになれるならば、私はそれで良かった。
ただ、それだけだった。